この記事の主な参照ソース
- マザーズハローワーク事業(厚生労働省) — 子育て中の人向け就職支援窓口の内容
- 求職者支援制度のご案内(厚生労働省) — 月10万円の給付金つき職業訓練
- よくわかる「子ども・子育て支援新制度」(こども家庭庁) — 求職活動中の保育園申し込み
- 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内(厚生労働省) — 再就職後に使える両立支援
「そろそろ働きたい。でも、履歴書の空白を見られたら、どう思われるんだろう」——今、そんな不安で足が止まっていませんか?
子どもが少し大きくなって、ふと「私、もう一度働けるのかな」と考える。求人サイトを眺めては、応募ボタンを押せないまま閉じる。この繰り返しになっているママ、実はとても多いんです。
でも、ブランクのあるママの再就職には、国の支援がかなり具体的に用意されています。子連れで相談できる専門窓口、受講料が原則無料の職業訓練、要件を満たせば月10万円の給付金、そして「求職活動中でも申し込める」保育園。知っているかどうかで、最初の一歩の重さが変わります。
この記事では、厚生労働省とこども家庭庁の情報をもとに、「何から始めるか」を5つのステップに整理しました。
ステップの全体像と、最初にやる3つの整理

いきなり求人に応募する前に、進む順番を決めておきましょう。全体像はこの5ステップです。
| ステップ | やること | 主な窓口 |
|---|---|---|
| ① 希望の整理 | いつから・週何日・何を優先するかを決める | 自宅でOK |
| ② 相談 | 担当者と一緒に方向性を固める | マザーズハローワーク |
| ③ スキル準備 | 必要ならハロートレーニング(職業訓練)を受ける | ハローワーク |
| ④ 保育の確保 | 「求職活動」を事由に保育園を申し込む | 市区町村の保育担当課 |
| ⑤ 応募・面接 | 応募書類の添削・面接対策を受けて応募する | マザーズハローワーク |
②〜④は同時進行でかまいません。1つずつ順番に終わらせようとすると、それだけで何か月も過ぎてしまうからです。
最初の「希望の整理」で決めておきたいのは3つ。
- 時期: いつから働きたいか。保育園の入園時期との兼ね合いも一緒に考える
- 時間: 週何日・1日何時間まで働けるか。お迎えの時間、夫や祖父母に頼れる曜日も書き出す
- 優先順位: 収入・通勤時間・仕事内容のうち、譲れないものはどれか
ここが曖昧なまま窓口に行くと、相談も求人選びもふわっとしたまま終わりがちです。逆に、この3つがメモ1枚にまとまっているだけで、次のステップの話が一気に具体的になります。
子連れで相談できる「マザーズハローワーク」を起点にする

相談先として最初に知ってほしいのが、マザーズハローワークです。厚生労働省が行っている子育て中の人向けの就職支援窓口で、全国にマザーズハローワークが23か所、一般のハローワーク内に設けられたマザーズコーナーが183か所あります。
一般の窓口と違うのは、子育てを前提に設計されているところです。
- 担当者制で、同じ担当者が継続して職業相談・職業紹介をしてくれる
- 応募書類の書き方や面接のアドバイスが受けられる
- 子育てと両立しやすい求人、子育てに理解のある企業の求人を扱っている
- 保育所など、地域の子育て支援サービスの情報も教えてもらえる
おもちゃや絵本のあるキッズコーナーや授乳室が用意されているので、預け先が決まっていない段階でも子どもと一緒に行けます。利用は無料です。
就職準備セミナーやパソコン講習といった無料セミナーも開かれていて、託児付きや子ども同伴OKのものもあります。「いきなり個別相談はハードルが高い」という人は、セミナー参加から入るのも一つの手です。
厚生労働省の紹介ページには、担当者制の支援を受けた人の就職率は90%以上という実績が載っています。誰でも決まるという意味ではありませんが、ブランクのある人の就職を支え続けてきた窓口だということは、この数字からも見てとれます。
スキルの不安は「ハロートレーニング」で埋める

「ブランクの間にスキルが古くなった気がする」「事務職に移りたいけれどパソコンに自信がない」。そんなときの選択肢が、国の職業訓練「ハロートレーニング」です。希望する仕事に就くために必要なスキルや知識を学べる公的制度で、受講料は原則無料。テキスト代などは自己負担です。
種類は大きく2つに分かれます。
| 公共職業訓練 | 求職者支援訓練 | |
|---|---|---|
| 主な対象 | 雇用保険を受給している求職者 | 雇用保険を受給できない求職者 |
| ブランクのあるママでは | 退職してまもない人など | 専業主婦の期間が長い人はこちらが中心 |
| 訓練期間 | コースによる(最長2年のものも) | 基礎コース2〜4か月・実践コース3〜6か月 |
| 受講料 | 原則無料(テキスト代等は自己負担) | 原則無料(テキスト代等は自己負担) |
| 申し込み窓口 | 住所地を管轄するハローワーク | 住所地を管轄するハローワーク |
出産を機に退職して年数が経っている場合、雇用保険はすでに受給できないケースがほとんどです。その場合の受け皿が「求職者支援訓練」になります。
ここがポイントなんですが、内閣府男女共同参画局のページでは、ハロートレーニングについて「育児と両立しやすい短時間コースや託児サービスの提供がある」と紹介されています。「訓練の間、子どもをどうするか」という一番の心配ごとに、制度の側が答えを用意しているわけです。コースの中身や託児の有無は地域によって違うので、ハローワークで確認してみてください。
月10万円の給付金つきで学べる「求職者支援制度」

「訓練を受けたい。でも、その間の収入がない」。ここで効くのが求職者支援制度です。雇用保険を受給できない求職者などが、月10万円の職業訓練受講給付金を受け取りながら、無料の職業訓練を受講できる制度です。
給付金には主な支給要件があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 本人収入 | 月8万円以下 |
| 世帯収入 | 月30万円以下 |
| 金融資産 | 世帯全体で300万円以下 |
| 出席 | 訓練実施日すべてに出席(やむを得ない理由がある場合でも8割以上) |
| 過去の受給 | 過去6年以内にこの給付金を受給していない |
このほか、通所手当(月上限42,500円)や寄宿手当もあります。
気をつけたいのは出席の要件です。原則は全日出席で、子どもの病気などやむを得ない理由があっても8割以上の出席が求められます。子どもが小さいうちに受講するなら、病児保育や家族の応援など「休まず通うための体制」を先に整えておくほうが安心です。
訓練が終わったら支援も終わり、ではありません。訓練前の相談から訓練終了後3か月まで、ハローワークが原則月1回の職業相談で就職活動を支えてくれます。また、求職者支援制度にも育児との両立を支援する短時間訓練コースが用意されています。
保育園は「求職活動中」でも申し込める

「仕事が決まっていないと保育園に入れない。でも保育園がないと仕事を探せない」。この鶏と卵のような悩み、本当によく聞きます。
実はこれ、制度の上では答えが出ています。保育所などを利用するために必要な「保育を必要とする事由」に、求職活動がちゃんと含まれているんです。こども家庭庁のページでは、事由として次のようなものが挙げられています。
保育を必要とする事由(一部) 就労/妊娠・出産/保護者の疾病・障害/親族の介護・看護/災害復旧/求職活動(起業準備を含む)/就学(職業訓練校等における職業訓練を含む)/虐待やDVのおそれ/育児休業取得中の継続利用 など (出典: こども家庭庁「よくわかる『子ども・子育て支援新制度』」)
つまり、仕事を探している段階でも保育園の申し込みはできます。さらに「就学」には職業訓練校等での職業訓練も含まれるので、ハロートレーニングに通う期間も保育認定の対象になり得ます。
認定には2つの区分があります。
| 認定区分 | 利用できる時間 | 想定される働き方 |
|---|---|---|
| 保育標準時間 | 最長11時間 | フルタイム就労 |
| 保育短時間 | 最長8時間 | パートタイム就労 |
ただし、求職活動での利用をいつまで認めるかは自治体ごとに決まっています。たとえば横須賀市では、求職活動での認定の有効期間は3か月間で、延長はできません。また同市では、就労を事由とする場合の就労時間の下限は月64時間以上とされています。期間も基準も自治体で違うので、住んでいる市区町村の保育担当課で「求職活動での申し込み」と「訓練中の扱い」を確認してください。
申し込みから入園までの時間を考えると、保育園の情報収集は5ステップの中でいちばん早く動いていい部分です。地域の保育情報はマザーズハローワークでも教えてもらえます。
求人選びは「両立支援制度」もチェックする

再就職先を選ぶとき、給料や通勤時間と同じくらい現実的な判断材料になるのが「子どもの急な発熱に対応できるか」ですよね。ここで知っておきたいのが、育児・介護休業法で定められた両立支援の仕組みです。2025年4月1日から、中身が広がりました。
子どもの年齢別に整理するとこうなります。
| 子どもの年齢 | 使える主な制度 |
|---|---|
| 3歳未満 | 短時間勤務制度、残業免除(所定外労働の制限)、子の看護等休暇、テレワーク(事業主の努力義務) |
| 3歳〜小学校入学前 | 残業免除(2025年4月から対象拡大)、子の看護等休暇 |
| 小学校1〜3年生 | 子の看護等休暇(2025年4月から対象拡大) |
再就職するママにとって特に大きいのが、子の看護等休暇の変更です。
- 対象となる子の範囲が小学校3年生修了までに広がった
- 病気・けがや予防接種・健康診断に加えて、感染症に伴う学級閉鎖等や入園(入学)式・卒園式でも取れるようになった
- 日数は1年間に5日(子どもが2人以上なら10日)
- 労使協定で「勤続6か月未満の人は対象外」にできる規定が廃止された
最後の項目、地味に見えてかなり重要です。以前は入社から6か月間はこの休暇の対象外とされることがありましたが、2025年4月からその除外はできなくなりました(週の所定労働日数が2日以下の場合の除外は残ります)。再就職したばかりの時期から使える休暇へと設計が変わった、ということです。
このほか、3歳未満の子を育てる人向けの短時間勤務制度が難しい業務では代替措置にテレワークが加わり、3歳未満の子を育てる人がテレワークを選べるようにすることが会社の努力義務になりました。面接の場で聞きにくければ、求人票や採用ページの記載を確認したり、マザーズハローワークの担当者に職場の情報を聞いてみる方法もあります。
ブランクママの再就職でよくある誤解

最後に、動き出しを遅らせがちな思い込みを3つ、ほどいておきます。
誤解1: 「資格やスキルを身につけてからでないと相談できない」
順番が逆です。マザーズハローワークの相談は無料で、何も準備が整っていない段階から使えます。スキルが必要かどうかそのものを相談しながら判断すればよくて、必要になったらハロートレーニングという受け皿があります。
誤解2: 「仕事が決まっていないから保育園には申し込めない」
前の章で見たとおり、求職活動(起業準備を含む)も職業訓練も「保育を必要とする事由」に含まれています。申し込めないのではなく、期限つきで申し込める、が正解です。
誤解3: 「職業訓練は費用が高そう」
ハロートレーニングの受講料は原則無料です(テキスト代などは自己負担)。要件を満たせば、月10万円の給付金を受けながら学ぶ道もあります。
迷ったときの相談先は、内容ごとにこの3つを覚えておけば足ります。
- 働き方・求人のこと → マザーズハローワーク/マザーズコーナー
- 職業訓練・給付金のこと → 住所地を管轄するハローワーク
- 保育園のこと → 市区町村の保育担当課
「まだ何も決まっていないのに行っていいのかな」という段階でも大丈夫。むしろ、その段階の人のための窓口です。
よくある質問(FAQ)
Q1. ブランクが10年近くあります。それでも再就職できますか?
「必ずできます」とは誰にも言えませんが、ブランクのある人の就職支援はマザーズハローワークの本来の役割です。担当者制で応募書類や面接の準備まで伴走してもらえますし、厚生労働省のページでは担当者制の支援を受けた人の就職率が90%以上という実績も紹介されています。まずは相談から始めてみてください。
Q2. 専業主婦で雇用保険に入っていません。職業訓練は受けられますか?
受けられます。雇用保険を受給できない人を主な対象にした「求職者支援訓練」があり、基礎コースは2〜4か月、実践コースは3〜6か月、受講料は原則無料(テキスト代等は自己負担)です。窓口は住所地を管轄するハローワークです。
Q3. 月10万円の給付金は誰でももらえますか?
いいえ、要件があります。本人収入が月8万円以下、世帯収入が月30万円以下、世帯の金融資産が300万円以下、訓練実施日すべてに出席する(やむを得ない理由がある場合でも8割以上)、過去6年以内にこの給付金を受給していない、などを満たす必要があります。自分が該当するかはハローワークで確認できます。
Q4. 子どもがまだ保育園に入っていません。何から動けばいいですか?
保育園の情報収集と就職相談を並行で進めるのがおすすめです。「求職活動」も「職業訓練」も保育を必要とする事由に含まれるため、仕事が決まる前から申し込み自体はできます。ただし、求職活動での利用をいつまで認めるかは自治体ごとに決まっている(例: 横須賀市は3か月間)ので、まず市区町村の保育担当課で確認してください。
Q5. 再就職してすぐ、子どもの発熱で休めるのか不安です。
2025年4月から、子の看護等休暇について労使協定で「勤続6か月未満は対象外」とする規定が廃止され、入社直後から取得の対象になる設計に変わりました(週の所定労働日数が2日以下の場合の除外は残ります)。日数は1年に5日、子どもが2人以上なら10日です。実際の運用は会社によって差があるので、内定時に確認しておくと安心です。
Q6. パート勤務でも保育園を続けられますか?
パートタイム就労を想定した「保育短時間」(最長8時間)という認定区分があります。就労時間の下限は自治体が定めていて、たとえば横須賀市では月64時間以上です。希望する働き方がお住まいの自治体の基準を満たすか、先に確認しておきましょう。
まとめ
- 再就職は「希望の整理→相談→訓練→保育→応募」の5ステップ。相談・訓練・保育の3つは同時進行でいい
- マザーズハローワークは子連れで行ける無料の就職支援窓口。全国23か所、マザーズコーナーは183か所
- スキルの不安はハロートレーニングで埋められる。受講料は原則無料で、託児サービスや短時間コースの提供もある
- 雇用保険がなくても、要件を満たせば月10万円の給付金つきで訓練を受けられる(求職者支援制度)
- 保育園は求職活動中でも申し込める。ただし期限や基準は自治体ごとに違うので、保育担当課への確認が先
- 2025年4月から子の看護等休暇が入社直後でも対象になる設計に変わり、再就職直後の両立の支えが増えた
ブランクは「埋めてから動く」ものではなく、「動きながら埋める」もの。制度の内容は今後変わる可能性もあるので、最新の条件は各窓口で確かめつつ、まずはメモ1枚の希望整理から始めてみてください。