この記事の主な参照ソース
- 育児休業等給付の内容と支給申請手続(2026年8月1日改訂版) — 給付金の要件・計算式・申請手続の正本パンフレット
- 育児・介護休業法のあらまし「産後パパ育休制度」 — 産後パパ育休の期間・申出期限のルール
- 育児・介護休業法のあらまし「育児休業制度」 — 1歳までの育児休業と延長の要件
- 令和6年度雇用均等基本調査 事業所調査結果概要 — 男性の育休取得率のデータ
厚生労働省の「令和6年度雇用均等基本調査」によると、男性の育児休業取得率は40.5%。前回調査の30.1%から10.4ポイント上がりました。
10人のうち4人。「パパが育休を取る」は、もう特別な選択ではなくなりつつあります。
それでも、いざ自分の番になると迷いますよね。収入はどれくらい減るのか。いつまでに、誰に、何を申請すればいいのか。そもそも「産後パパ育休」と「育休」は何が違うのか。調べはじめると制度の名前ばかり増えて、肝心のお金の話がなかなか見えてきません。
2種類の育休の違い、申し出の期限、給付金の計算方法。厚生労働省の資料だけを根拠に、この3つを整理しました。2025年4月に始まった「出生後休業支援給付金」で最大28日間が手取り10割相当になる仕組みも、ここで扱います。ママからパパへ、そのまま渡せる内容です。
パパが取れる育休は2種類|産後パパ育休と育児休業の違い

最初に全体像から。パパが取れる育休は2種類あります。
1つ目は産後パパ育休(正式名称は出生時育児休業)。子どもが生まれてから8週間以内に、合計4週間分(28日)まで取れる短期集中型の休業で、2回に分けて取ることもできます。
2つ目は育児休業。原則として子どもが1歳になるまで取れる、いわゆるふつうの育休です。こちらも2回まで分割できます。
ここがポイントなんですが、この2つは別枠です。厚生労働省の「育児・介護休業法のあらまし」でも、産後パパ育休は育児休業とは別に取得できると説明されています。つまり「生後すぐに産後パパ育休を2回」+「その後に育児休業を2回」という組み合わせなら、合計4回に分けて休めます。
| 項目 | 産後パパ育休(出生時育児休業) | 育児休業 |
|---|---|---|
| 取れる期間 | 子の出生後8週間以内 | 原則、子が1歳になるまで(保育所に入れない等の場合は最長2歳まで延長あり) |
| 取れる日数 | 合計4週間分(28日)まで | 期間内で本人が申し出た期間 |
| 分割 | 2回まで(2回分をまとめて申出) | 2回まで |
| 申し出の期限 | 原則、休業の2週間前まで | 原則、休業の1か月前まで |
| 休業中の就業 | 労使協定があれば、本人が合意した範囲で可 | 制度上の就業の仕組みはなし |
| 対応する給付金 | 出生時育児休業給付金(67%) | 育児休業給付金(67%、181日目以降50%) |
なお、妻が専業主婦でも、産後休業中でも、パパは産後パパ育休を取得できます。「妻が家にいるなら取れないのでは」という思い込みで諦める必要はありません。
パパ・ママ育休プラスという仕組みもあり、父母がともに育休を取る場合は子が1歳2か月に達するまでの間の1年間、育児休業を取れます。夫婦で時期をずらして長くカバーしたい家庭向けの選択肢です。
産後パパ育休はいつまで?取れる期間と申し出の期限

「産後パパ育休はいつまで取れるのか」。答えは子の出生後8週間以内です。この8週間の窓の中で、合計28日分までを1回または2回に分けて取ります。
正確には、起点は「出生日または出産予定日の早いほう」、終点は「遅いほうから8週間を経過する日の翌日」。予定日より早く生まれたり遅れたりした場合は、その分だけ取れる窓が広がる仕組みになっています。
申し出の期限はシンプルで、原則として休業を始めたい日の2週間前まで。ただし会社が労使協定を結んでいる場合は、期限が「2週間超〜1か月前まで」の範囲で前倒しされていることがあります。自社がどちらなのかは、妊娠がわかった段階で早めに人事へ確認を。
もう1つ、意外と見落としがちなのが分割のルール。産後パパ育休を2回に分けて取る場合は、最初に2回分をまとめて申し出る必要があります。1回目を取ったあとで「やっぱりもう1回」と後出しすると、会社は2回目の申出を断ることができます。退院直後と里帰りから戻るタイミングの2回で取りたいなら、最初の申請時点で両方の日程を出しておきましょう。
通常の育児休業のほうは、希望どおりの日から休むには原則1か月前までの申し出が必要です。時期別にまとめるとこうなります。
| 子の月齢・時期 | 使える制度 | 申し出の期限 |
|---|---|---|
| 出生〜8週間 | 産後パパ育休(合計28日まで・2回まで) | 原則2週間前まで |
| 8週間〜1歳 | 育児休業(2回まで分割) | 原則1か月前まで |
| 1歳〜1歳2か月 | パパ・ママ育休プラス(父母とも取得する場合) | 会社に早めに相談 |
| 1歳〜最長2歳 | 保育所に入れない等の場合の延長 | 延長要件の確認が必要 |
長い休みを取ることに不安があるなら、厚生労働省の資料でも「まず産後パパ育休で短期間の休業を試してから、長めに育児休業を取得する」という使い方が紹介されています。最初の一歩は28日より短くても構わないんです。
育休の給付金はいくら?計算のもとになる3つの数字

「育休の給付金はいくらもらえるのか」を左右するのは、67%・50%・13%という3つの数字です。
給付金は雇用保険から支給され、計算式は共通で「休業開始時賃金日額 × 休業日数 × 給付率」。賃金日額は、休業に入る前の直近6か月に支払われた賃金の総額(ボーナスなど3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は除く)を180で割った額です。ざっくり言えば「ボーナス抜きの月給の日割り」に近い金額になります。
| 給付金 | 対象になる休業 | 給付率 | 支給上限額(2026年8月時点) |
|---|---|---|---|
| 出生時育児休業給付金 | 産後パパ育休(28日まで) | 67% | 休業28日で310,290円 |
| 育児休業給付金 | 育児休業(原則1歳まで) | 67%(181日目以降は50%) | 支給日数30日で332,454円(67%)/248,100円(50%) |
| 出生後休業支援給付金 | 上の2つへの上乗せ(次の章で解説) | 13% | 休業28日で60,205円 |
給付率67%が続くのは、育休を始めてから通算180日目まで。181日目からは50%に下がります。注意したいのは、産後パパ育休で給付を受けた日数もこの180日に含めて数えられること。「産後パパ育休28日+育児休業」と続けた場合、育児休業側の67%は残り152日分になります。
上限もあります。賃金日額には16,540円という上限額(令和9年7月31日までの額)が設定されていて、これを超える給料の人は上限額で計算されます。この上限は毎年8月1日に見直されるので、表の金額は「2026年8月時点」の数字として読んでください。
67%と聞くと「3割以上も減るのか」とため息が出ますよね。ここからが、2025年4月に始まった新しい話です。
最大28日が手取り10割相当に|出生後休業支援給付金の条件

出生後休業支援給付金は、2025年4月1日に創設された上乗せの給付金です。出生時育児休業給付金または育児休業給付金を受ける人が要件を満たすと、最大28日間、賃金日額の13%が上乗せされます。67%+13%で給付率は80%。
「80%なのに手取り10割?」と思いますよね。実はこれ、税金と社会保険料のカラクリです。厚生労働省のパンフレットでは、育休中は申出により健康保険・厚生年金保険料が免除され、給与が出なければ雇用保険料の負担もなく、給付金そのものが非課税であることから、給付率80%で手取り10割相当になると説明されています(賃金日額が上限額に収まる場合)。ふだんの給料から天引きされているものが丸ごとなくなるぶん、額面の8割でも手取り感は変わらない、という理屈です。
パパ側の要件は1つだけ。対象期間(子の出生日または出産予定日の早い日から、遅い日から8週間を経過する日の翌日まで)に、給付金が出る休業を通算14日以上取ることです。
配偶者側にも「同期間に14日以上の育休」という要件があるのですが、ここで慌てなくて大丈夫。子の出生日の翌日時点でママが産後休業中・専業主婦・自営業やフリーランスなどの場合は「配偶者の育児休業を要件としない場合」に該当し、ママが育休を取っていなくても要件を満たします。出産したママは出生直後は産後休業中ですから、父親側は実質「自分が14日以上休むかどうか」だけが分かれ目になります。
金額のイメージも、厚生労働省パンフレットの例で見てみましょう。賃金日額10,000円(ボーナスを除く月給がおよそ30万円の人:30万円×6か月÷180日)で、14日間の産後パパ育休を取り、その間給与が出ない場合。
- 出生時育児休業給付金:10,000円 × 14日 × 67% = 93,800円
- 出生後休業支援給付金:10,000円 × 14日 × 13% = 18,200円
- 合計 112,000円(賃金日額の80%)。これが非課税・保険料免除つき
2週間休んで、この支給。「収入が心配だから取れない」のハードルは、以前よりかなり低くなりました。ただし上乗せは28日が上限で、29日目以降の休業分は67%(181日目以降50%)に戻ります。
給付金をもらう条件と申請の流れ

給付金には、休業の取り方とは別に受給の条件があります。柱は3つ。
雇用保険の加入実績 — 休業開始前の2年間に、賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月以上あることが必要です(11日未満でも労働時間80時間以上の月はカウント可)。
休業中の働きすぎ防止 — 産後パパ育休中の就業は、28日フルで取った場合で最大10日(超える場合は80時間)以下に収める必要があります。休業が28日より短ければ、この枠も日数に比例して小さくなります(14日間の休業なら最大5日・40時間)。育児休業のほうも、1か月ごとの支給単位期間あたり就業10日(超える場合は80時間)以下が条件です。
会社から出る給与との調整 — 休業期間を対象に賃金日額×日数の80%以上の賃金が支払われると、給付金は支給されません。
条件を満たしたら、あとは手続き。流れはこうです。
| ステップ | やること | タイミング |
|---|---|---|
| 1. 会社に申し出る | 育児休業申出書を提出(産後パパ育休の分割は2回分まとめて) | 産後パパ育休は原則2週間前・育児休業は原則1か月前まで |
| 2. 休業する | 就業する場合は事前合意の範囲内で | — |
| 3. 会社がハローワークへ申請 | 賃金月額証明書・支給申請書・母子健康手帳の写しなどを提出 | 出生8週間経過の翌日から申請可能。期限はそこから2か月を経過する日の属する月の末日 |
| 4. 振込 | 本人名義の口座に入金 | 支給決定後、約1週間 |
申請の主体は原則として会社(事業主)で、窓口は事業所を管轄するハローワークです。本人が希望すれば直接申請もできますが、多くの場合は人事担当に必要書類を渡せば進みます。出生時育児休業給付金と出生後休業支援給付金は、1枚の申請書で一体的に申請するのが原則です。
そしてお金の面でひとつ注意。産後パパ育休の給付金は、申請できるようになるのが出生から8週間後です。振込は支給決定からさらに約1週間。つまり実際の入金は、どんなに早くても生後2か月を過ぎたころになります。休業中の生活費はあらかじめ手元に用意しておきましょう。
パパ育休のよくある誤解とNG例

制度を調べていて引っかかりやすいのは、だいたいこのあたりです。
誤解1:「産後パパ育休を取ったら、育休はもう取れない」 別制度なので両方取れます。産後パパ育休2回+育児休業2回という設計も可能です。
誤解2:「給付金は自動的に振り込まれる」 申請しなければ1円も入りません。原則は会社経由でハローワークに申請します。休業に入る前に、人事へ「給付金の申請もお願いします」と一言確認しておくのが確実です。
誤解3:「育休中は収入ゼロになる」 要件を満たせば給付率67%(最大28日は80%)の給付金が出て、社会保険料の免除と非課税の効果も加わります。諦める前に一度計算してみてください。
誤解4:「何回でも分割できる」 分割は産後パパ育休・育児休業それぞれ2回までです。3回目以降の育児休業は、特別の事情がない限り給付金の対象になりません。
誤解5:「直前に言えば何とかなる」 申し出には期限があります。期限を過ぎると、会社は休業開始日を後ろにずらして指定できるため、希望日から休めなくなる可能性があります。
迷ったときの相談先
制度の適用は会社の労使協定や個人の加入状況で変わります。自分のケースの確認は、勤務先の人事担当と事業所を管轄するハローワークが確実です。金額を先に知りたい場合は、厚生労働省の「育児休業等給付について」ページから支給額のシミュレーターと簡易診断が使えます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 産後パパ育休はいつまでに会社へ申し出ればいいですか?
原則は休業を始めたい日の2週間前までです。ただし労使協定がある会社では最長1か月前までに前倒しされていることがあるため、就業規則の確認が先決です。2回に分けて取る場合は、2回分の日程をまとめて申し出る必要があります。
Q2. 育休の給付金はいくらもらえますか?
「休業開始時賃金日額×休業日数×給付率」で計算します。賃金日額は直近6か月の賃金総額(ボーナス除く)÷180。給付率は通算180日目まで67%、181日目以降50%で、出生後休業支援給付金の要件を満たすと最大28日間は13%が上乗せされ80%になります。賃金日額には上限(16,540円・令和9年7月31日までの額)があります。
Q3. 妻が専業主婦でも、出生後休業支援給付金の対象になりますか?
対象になり得ます。配偶者が無業者・自営業・産後休業中などの場合は「配偶者の育児休業を要件としない場合」に該当し、配偶者側の要件は不要です。パパ本人が対象期間に14日以上の休業を取れば要件を満たします。
Q4. 転職したばかりでも給付金はもらえますか?
休業開始前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月以上あるかで判断されます。前職の雇用保険加入期間を含めて数えられる場合がありますが、失業手当(基本手当)の受給資格の決定を受けた場合はそれ以降の期間だけで数えます。境目のケースはハローワークに確認してください。
Q5. 育休中に少しだけ仕事をしても給付金はもらえますか?
上限内なら支給されます。産後パパ育休は労使協定と本人合意がある場合に就業でき、28日の休業で最大10日(超える場合は80時間)まで。育児休業は1か月ごとに就業10日(超える場合は80時間)以下が条件です。上限を超えると、その期間の給付金が不支給になります。
Q6. 給付金はいつ振り込まれますか?
出生時育児休業給付金は、子の出生(予定日前に生まれた場合は予定日)から8週間を経過した翌日以降に申請でき、支給決定から約1週間で本人口座に振り込まれます。入金は早くても生後2か月過ぎになるため、休業中の生活費は事前の準備が必要です。
まとめ
- パパの育休は産後パパ育休(出生後8週間以内・合計28日まで・2回分割可)と育児休業(原則1歳まで・2回分割可)の2階建て
- 申し出の期限は産後パパ育休が原則2週間前、育児休業が原則1か月前。分割する産後パパ育休は2回分まとめて申請
- 給付金は賃金日額×休業日数×67%(通算180日目まで。181日目以降は50%)
- 対象期間に本人が14日以上休めば、13%上乗せで80%=手取り10割相当が最大28日間(ママが産後休業中・専業主婦などの場合、配偶者側の育休は不要)
- 申請は会社経由でハローワークへ。入金は早くても生後2か月過ぎなので生活費は事前に確保
- 支給上限額は毎年8月に改定される。最新額は厚生労働省・ハローワークで確認
妊娠がわかったら、就業規則で申出期限を確認して、2回分の日程を紙に書いてみる。取るかどうかの判断は、そのあとでも間に合います。
※本記事は2026年8月時点の厚生労働省資料に基づく制度解説です。給付額の上限や要件は改定されることがあります。個別の適用は勤務先の人事担当またはハローワークに確認してください。