この記事の主な参照ソース
- 子の看護等休暇(厚生労働省) — 対象・日数・取得事由
- 法改正のポイント(厚生労働省) — 2025年4月の改正内容
- 育児・介護休業法 改正内容(厚生労働省) — 改正前後の比較
- 保育所における感染症対策ガイドライン(こども家庭庁) — 登園基準
朝7時20分、体温計が38.2℃を表示した瞬間の絶望感。今日は会議がある。有給はもう残りわずか。同僚への連絡文をどう書くか、頭の中で3回書き直す。
……この時間、経験ありませんか。
子どもの体調不良で仕事を休むための制度は、2025年4月に大きく変わりました。 ところが「子の看護休暇」という古い名前のまま覚えていると、使える範囲を狭く見積もってしまいます。
厚生労働省の情報をもとに、今使える制度の中身と、職場への伝え方を整理します。
2025年4月に変わったこと

厚生労働省の資料によると、2025年4月1日施行の改正で次の点が変わりました。
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 名称 | 子の看護休暇 | 子の看護等休暇 |
| 対象となる子の範囲 | 小学校就学の始期に達するまで | 小学3年生修了まで |
| 取得事由 | 病気・けがの看護、予防接種・健康診断 | 左記に加え、感染症に伴う学級閉鎖等への対応、入園式・卒園式・入学式への参列 |
| 勤続6か月未満の除外 | 労使協定により除外できた | 除外規定が廃止 |
「小学3年生修了まで」への拡大は大きな変更です。就学したら使えなくなる制度だと思っていた方は、確認する価値があります。
「入園式、卒園式、入学式に参列する場合」が取得事由に入ったのも実務的です。これまで有給休暇を使っていた行事が、看護等休暇の対象になりました。
勤続6か月未満の除外規定の廃止も見落とされやすい点です。転職直後や入社1年目でも取得できるようになりました。
日数と取得の単位

厚生労働省の説明では、次のとおりです。
対象となる労働者 「小学3年生修了までの子を養育する労働者(日々雇用を除く)」。 ただし、労使協定を締結している場合、「1週間の所定労働日数が2日以下の労働者」は対象外とされます。
取得できる日数 「対象となる子が1人の場合は、1年間に5日まで。対象となる子が2人以上の場合は、1年間に10日まで」。
取得の単位 「休暇を時間単位で取得することも可能です」とされ、「1時間単位及び1労働日単位」で取得できます。
ここがポイントなんですが、時間単位で取れることを知っているかどうかで、使える回数がかなり変わります。
たとえば「午前中に受診して、午後から出勤する」という日を1日消費すると、5日はすぐなくなります。時間単位なら、受診にかかった2〜3時間だけを使う形にできます。
| 使い方 | 消費のイメージ |
|---|---|
| 1日休む | 1労働日を消費 |
| 午前だけ受診して午後出勤 | かかった時間ぶんを消費 |
| 学級閉鎖で1日見る | 1労働日を消費 |
| 入園式に参列 | 半日〜かかった時間ぶん |
取得事由として厚生労働省が挙げているのは、病気やけがの看護、予防接種・健康診断、感染症に伴う学級閉鎖等になった子の世話、子の入園式・卒園式・入学式への参列です。
有給休暇との使い分け

同じ「休む」でも、使う制度によって扱いが違います。
| 子の看護等休暇 | 年次有給休暇 | |
|---|---|---|
| 使える理由 | 子の看護、予防接種・健診、学級閉鎖等への対応、入園式等への参列 | 理由を問わない |
| 日数 | 子1人で年5日、2人以上で年10日 | 勤続期間に応じて付与される日数 |
| 賃金 | 法律上は有給とすることを義務づけていない(勤務先の規定による) | 有給 |
| 取得単位 | 1時間単位・1労働日単位 | 1日単位(勤務先により半日・時間単位の制度がある場合も) |
賃金の扱いはいちばん確認が必要な点です。 子の看護等休暇について、法律は有給とすることを義務づけていません。つまり無給の場合もあります。 勤務先の就業規則で「有給扱い」と定めている会社もあるので、まず確認してください。
実務的な使い分けとしては、こう考える方が多いようです。
- 看護等休暇が有給扱いの会社 → 対象になる理由のときは看護等休暇を先に使う
- 看護等休暇が無給の会社 → 年次有給休暇を先に使い、足りなくなったら看護等休暇
どちらにしても、制度が2つあることを知っておくのが前提です。年次有給休暇だけで回そうとすると、自分が体調を崩したときに残っていない、という事態になります。
職場への伝え方

伝え方で大事なのは、相手が判断できる情報を入れることです。
当日朝の連絡に入れる4点
- 休む(または遅れる)こと
- 子の看護等休暇を使うのか、有給を使うのか
- 復帰の見込み(「明日は分かりません」でも構いません)
- 今日の業務のうち、代わってほしいこと/自分で対応できること
文例としては、こんな形になります。
おはようございます。子どもが38℃の発熱で保育園を休むため、本日は子の看護等休暇を取得します。10時の定例は欠席させてください。資料は共有フォルダに置いてあります。急ぎの連絡はチャットで確認できます。明日の見通しは、夕方に改めて連絡します。
「すみません」で始めないのもコツです。制度として認められた休暇なので、謝罪から入るとかえって説明が長くなります。
そして復帰後の一言も効きます。「昨日はありがとうございました。◯◯は対応済みです」の1文があると、次に頼みやすくなります。
保育所の登園基準(こども家庭庁のガイドライン)を職場に共有しておくのも一案です。「37.5℃を超えて機嫌が悪ければ登園できない」という基準が外部にあることが伝わると、説明の手間が減ります。
休暇が足りないときの選択肢

年5日(2人以上で10日)では足りない年もあります。制度だけに頼らない備えを並べておきます。
| 手段 | 準備しておくこと |
|---|---|
| 病児保育 | 使う前に登録を済ませる。当日申込では間に合わない |
| テレワーク・時間単位勤務 | 勤務先の制度を確認。改正でテレワークの措置も広がっている |
| 家族間の当番制 | 1回目は誰、2回目は誰、と順番を決めておく |
| ファミリー・サポート・センター | 自治体の制度。事前登録と面談が必要な場合がある |
| 祖父母・親族 | 距離と体力の現実を踏まえて、頼める範囲を確認しておく |
病児保育の事前登録は、いちばん費用対効果が高い備えです。 登録に1時間かかっても、1回使えれば元が取れます。
2025年4月の改正では、育児期の柔軟な働き方に関する措置も含まれています。テレワークや始業時刻の変更など、勤務先で選べる制度があるかを確認しておくと、休まずに対応できる日が増えます。
我が家は「代打の順番」を紙に書いて冷蔵庫に貼りました。朝に相談する時間が減って、それだけで気が楽になりました。
よくある誤解とNGパターン

1. 「小学校に入ったら使えない」 2025年4月から小学3年生修了までに拡大されました。
2. 「入社半年未満だから対象外」 勤続6か月未満の労働者を除外する規定は廃止されました。
3. 「1日単位でしか取れない」 1時間単位での取得も可能です。受診の時間だけ使う形にできます。
4. 「看護休暇は必ず有給」 法律は有給とすることを義務づけていません。勤務先の就業規則で確認してください。
5. 「入園式や卒園式には使えない」 改正で入園式・卒園式・入学式への参列が取得事由に加わりました。
6. 「学級閉鎖は自己都合」 感染症に伴う学級閉鎖等になった子の世話も取得事由です。
相談先と確認しておくこと

確認しておく先を整理します。
| 相談先 | 確認できること |
|---|---|
| 勤務先の人事・就業規則 | 有給か無給か、申請方法、時間単位取得の運用 |
| 都道府県労働局 雇用環境・均等部(室) | 法律上の取扱い、勤務先の対応が適切かどうかの相談 |
| 自治体の子育て支援窓口 | 病児保育、ファミリー・サポート・センターの登録 |
| かかりつけの小児科 | 病児保育の利用に必要な書類の相談 |
就業規則は、健康なうちに読んでおいてください。 朝7時20分に読むものではありません。「子の看護等休暇」「育児」「時間単位」で検索して、該当箇所をスクリーンショットに撮っておくと、必要なときにすぐ確認できます。
勤務先が改正に対応していない、取得を認めないといった場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が相談窓口になります。厚生労働省が公開している改正内容の資料を手元に置いて相談すると話が進みやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 子の看護等休暇は何日取れますか?
対象となる子が1人の場合は1年間に5日まで、2人以上の場合は1年間に10日までです。
Q2. 何歳の子まで対象ですか?
2025年4月1日から、小学3年生修了までの子を養育する労働者が対象になりました。改正前は小学校就学の始期に達するまででした。
Q3. 半日や時間単位で取れますか?
厚生労働省は「休暇を時間単位で取得することも可能です」としており、1時間単位および1労働日単位で取得できるとされています。
Q4. 有給ですか、無給ですか?
法律は有給とすることを義務づけていません。勤務先の就業規則で定められた扱いになるため、人事や就業規則で確認してください。
Q5. 学級閉鎖のときも使えますか?
使えます。2025年4月の改正で「感染症に伴う学級閉鎖等になった子の世話をする場合」が取得事由に加わりました。
Q6. 入社してすぐでも取得できますか?
勤続6か月未満の労働者を除外する規定は廃止されました。ただし、労使協定を締結している場合、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者は対象外とされることがあります。
まとめ
- 2025年4月1日施行の改正で「子の看護等休暇」に名称が変わり、対象が小学3年生修了まで拡大
- 日数は子1人で年5日、2人以上で年10日
- 1時間単位で取得できる。受診の時間だけ使う形にすると回数が持つ
- 取得事由に感染症に伴う学級閉鎖等への対応、入園式・卒園式・入学式への参列が追加
- 勤続6か月未満の除外規定は廃止
- 有給・無給は法律で決まっていない。就業規則で確認
- 職場への連絡には事由・見込み・引き継ぎの3点を入れる
- 病児保育は使う前に登録しておく
制度が変わったことを知らないまま有給を削り続けるのは、もったいない話です。健康なうちに就業規則を1回だけ読んでおいてください。
※本記事は制度の一般的な整理です。適用や運用は勤務先の規定によって異なるため、詳細は勤務先および厚生労働省の情報で確認してください