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お金・保険・学費 執筆:fujiki

子どもの無断課金を防ぐ|相談4,024件・平均33万円から学ぶ設定

この記事の主な参照ソース

クレジットカードの明細を見て、桁を二度見する。「これ、何の請求?」——そこから子どもの課金が発覚する、というのが典型的なパターンです。

国民生活センターは2024年3月13日、子どものオンラインゲームの無断課金について注意喚起を出しています。件数も金額も、想像より大きい規模です。

そして重要なのは、この記事に出てくる対策のほとんどが、端末の設定を数分いじるだけで済むということです。


数字で見る実態|相談4,024件、平均約33万円

子どものオンラインゲーム課金トラブルのデータを4枚のパネルで示すインフォグラフィック。「相談4,024件」「平均約33万円」「小学生1,988件」「10〜50万...

国民生活センターの報道発表資料によると、契約当事者が小中高生であるオンラインゲームに関する2022年度の相談件数は4,024件、契約購入金額の平均は約33万円でした。

年度別の推移は次のとおりです(PIO-NETに登録された相談件数)。

年度 小学生 中学生 高校生 合計
2018年度 896 798 301 1,995
2019年度 1,218 1,032 358 2,608
2020年度 1,915 1,386 498 3,799
2021年度 1,905 1,332 457 3,694
2022年度 1,988 1,513 523 4,024

5年間で倍増しています。しかも最も多いのは小学生です。中学生・高校生より、小学生の相談が多い。この順序は意外に感じるかもしれません。

金額の分布も示されています。契約購入金額は10〜50万円未満の相談が約半数を占め、平均は約33万円。相談の約8割が男性(契約当事者)で、特に小学生・中学生が多くなっています。

「うちは大丈夫」と思える数字ではありません。ここは押さえておきたいところです。


無断課金が起きる5つの場面

無断課金が起きる場面を5枚のカードで示した図解。「親のスマホを貸す」「ログイン状態のまま」「ペアレンタルコントロール未設定」「決済メールを見落とす」「お金の認識...

国民生活センターは、無断課金につながる「あぶない場面」を整理しています。

1. 保護者のスマホを、アカウントにログインしたまま渡す 資料はこれを、保護者の財布を子どもに渡すことと同じくらいあぶないと表現しています。課金はアカウントを通して行われるためです。

2. 子ども用に契約したスマホでも、ペアレンタルコントロール未設定だとキャリア決済ができてしまう キャリア決済は、通信契約をすると自動的に利用できるようになります。子ども名義の端末だから安心、とはなりません。

3. 決済完了メールを見落とす 「普段使わないメールアドレスを登録していた」「子どもに使わせていた古い端末にメールが届いていた」「子どもがメールアプリのアイコンを消していた」——こうした理由で、高額になるまで気づかなかった事例が挙げられています。

4. 子ども自身にお金を使っている認識がない 「お金がかかるとは分からなかった」「ゲーム内のコインを使っていただけで、本物のお金を使っていたとは思わなかった」という声が紹介されています。

5. パスワードを知らないはずなのに課金できてしまう 事例では、小学生の子が「パスワードを変えることができた」と話したケースが報告されています。子どもは大人が思うより端末に慣れています。


保護者がやる設定|5分でできる順に

保護者が行う課金対策を5ステップのチェックリスト図解で示す。「①ログオフ」「②子ども用アカウント」「③決済承認」「④カード情報削除・上限額」「⑤決済メール確認」...

国民生活センターが挙げている保護者へのアドバイスを、実行しやすい順に並べます。

1. 保護者のスマホで遊ばせるときは、必ずアカウントをログオフする Apple・Googleのアカウントをログオフしてから渡します。祖父母や親戚の端末を借りるときも同じです。

2. 子ども専用のアカウントを作り、ペアレンタルコントロールで管理する Appleは「ファミリー共有」、Googleは「ファミリーリンク」です。アプリのダウンロードや課金を承認制に設定できます。なお、13歳未満の子どもは単独でアカウントを作成できないため、保護者のアカウントを通して作成することになります。

3. 決済時の承認を設定する パスワード、指紋認証、顔認証を、アカウント決済とキャリア決済の両方に設定します。パスワードは子どもに伝えない、類推できない文字列にする、の2点が条件です。

4. クレジットカードとキャリア決済を管理する カードは子どもの手の届かないところで保管します。子どもが使う端末にカード情報を入力した場合は、忘れずに削除します。キャリア決済は上限額を下げられ、使わないなら利用停止もできます。

5. 決済完了メールと明細をこまめに確認する 決済完了メールの宛先を、普段使うメールアドレスにします。クレジットカードの明細、携帯電話料金の明細も定期的に見ます。カード会社によっては決済のたびに通知を設定できます。

対策 所要時間の目安 効き方
端末を渡す前のログオフ 10秒 即効性が最も高い
決済時の承認設定 3分 無断決済をその場で止める
カード情報の削除 3分 保存された情報からの課金を防ぐ
キャリア決済の上限変更 5〜10分 被害額の上限を決められる
ペアレンタルコントロール導入 15〜30分 課金・アプリ導入を承認制にできる

子どもと一緒にやること|お金の話は設定とセット

子どもと一緒に取り組む3項目を3枚の丸いカードで示した図解。「課金の仕組みを確認」「ルールを決める」「お金の価値を話す」のラベルを配置し、親子がゲーム画面を一緒...

設定だけでは足りません。国民生活センターは、子ども自身が考えて適切にゲームと付き合えるように、次の3点を一緒に取り組むよう挙げています。

  • 子どもが遊ぶゲームの課金の仕組みを一緒に確認し、無料で遊べる範囲を理解する
  • オンラインゲーム課金についてルールを決める
  • お金の価値や使い方について話し合う

やってみると分かりますが、1つ目がいちばん効きます。子どもと一緒にゲームを開いて、「これは無料」「これはお金がかかる」を画面で確認する。ゲーム内通貨と現実のお金の関係を、実際の画面で説明する。この10分があるかないかで、認識がかなり変わります。

年齢別に、決めておきたいことを整理します。

学年 決めること
未就学〜低学年 課金は一切しない。端末は保護者の同席で使う。アプリの追加は必ず相談
中学年 課金する場合は毎回相談。おこづかいの範囲を決める。無料と有料の区別を説明できるようにする
高学年〜中学生 月の上限額を決めて自己管理。明細を一緒に見る日を作る。友達との貸し借り・アカウント共有をしない

「絶対に課金させない」だけで通すと、隠れて課金する方向に働くことがあります。見える形で少額を扱う練習のほうが、結果的に安全なことも多いです。


起きてしまったときの対応

課金トラブル発生時の対応を4ステップの矢印フローで示した図解。「①明細で金額を確認」「②事業者に連絡」「③消費生活センターへ相談(188)」「④再発防止の設定」...

発覚したときは、責める前に手続きです。

1. 明細で金額と期間を確認する — アプリストアの購入履歴、クレジットカード明細、携帯料金明細を突き合わせます。

2. アプリストア運営事業者・ゲーム事業者に連絡する — 返金申請の窓口があります。申請には購入日時・金額・状況の説明が必要です。

3. 消費生活センターに相談する — 消費者ホットライン 188(いやや!) に電話すると、最寄りの消費生活センター等を案内してもらえます。

4. 設定を直してから、子どもと話す — 同じ状態のまま説教しても再発します。設定を変えてから、何が起きたかを一緒に確認します。

法的な位置づけも知っておいてください。民法では、未成年者が保護者の同意なく契約した場合、その契約を取り消すことができます。ただし国民生活センターは、子どもが保護者に無断で、保護者のアカウントでログインした端末で課金した場合は、アカウントの所有者である保護者が決済を行ったとみなされる場合もあると注意しています。

つまり「未成年だから全部取り消せる」とは限りません。ここでも、保護者のアカウントで遊ばせないことが効いてきます。


よくある誤解とNG例

課金トラブルのよくある誤解3つを、左に赤い×印の「誤解」カード、右に緑の○印の「実際」カードで対比した2列レイアウト。「未成年だから全額返る」「子ども名義なら安...

誤解1:未成年者の契約だから、全額必ず返金される 民法上は取り消せる場合がありますが、保護者のアカウントで課金された場合は保護者が決済したとみなされることがあります。返金の可否は状況によります。

誤解2:子ども名義で契約したスマホなら安全 キャリア決済は通信契約をすると自動的に利用可能になります。ペアレンタルコントロールを設定していなければ、自由に課金できる状態です。

誤解3:パスワードを教えていないから課金できないはず 事例では、子どもがパスワードを変更できてしまったケースが報告されています。パスワードは類推できない文字列にし、決済のたびに認証を求める設定にしてください。

誤解4:家庭用ゲーム機なら課金の心配がない 国民生活センターは、家庭用ゲーム機に関する事例も取り上げています。オンラインに接続する機器はすべて対象と考えてください。

NG例:課金が発覚したあと、設定を変えないまま「もうやらない」と約束させる 約束だけでは再発します。ログオフ、承認設定、カード情報の削除を先に済ませてから話してください。


よくある質問(FAQ)

Q1. 子どもの無断課金は、どのくらい起きているのですか?

国民生活センターによると、契約当事者が小中高生であるオンラインゲームに関する2022年度の相談件数は4,024件、契約購入金額の平均は約33万円です。相談件数は2018年度の1,995件から5年で倍増しており、内訳では小学生が最も多くなっています。

Q2. まず何を設定すればいいですか?

最優先は、保護者のスマホを渡すときにApple・Googleのアカウントをログオフすることです。国民生活センターは、ログインしたまま渡すことを「保護者の財布を子どもに渡すことと同じくらいあぶない」と表現しています。

Q3. ペアレンタルコントロールとは何ですか?

保護者のアカウントで子どものアカウントを管理する機能です。Appleは「ファミリー共有」、Googleは「ファミリーリンク」で、アプリのダウンロードや課金を承認制にできます。13歳未満の子どもは単独でアカウントを作成できないため、この機能を通して作成します。

Q4. キャリア決済も止められますか?

上限額の変更が可能で、使用しない場合は利用停止もできます。子ども専用のスマートフォンを契約する際は、契約時にあわせて設定しておくと安全です。

Q5. 無断課金に気づいたら、どこに相談すればいいですか?

まずアプリストア運営事業者やゲーム事業者の返金窓口に連絡し、あわせて消費者ホットライン188に電話して最寄りの消費生活センター等に相談してください。購入履歴と明細を手元に用意しておくと話が早く進みます。

Q6. 未成年者の契約は取り消せると聞きましたが、本当ですか?

民法では、未成年者が保護者の同意なく契約した場合は取り消すことができます。ただし国民生活センターは、保護者のアカウントでログインした端末で課金した場合、アカウント所有者である保護者が決済したとみなされる場合もあると注意しています。

Q7. 子どもに課金を一切させないほうがいいですか?

年齢によります。低学年のうちは課金しない前提が現実的ですが、高学年以降は「毎回相談」「月の上限を決める」など、見える形で扱う練習に切り替える家庭が多いです。国民生活センターも、課金の仕組みを一緒に確認し、ルールを決め、お金の価値を話し合うことを勧めています。


まとめ

  • 2022年度の相談は4,024件、契約購入金額の平均は約33万円。最も多いのは小学生
  • 起きる場面は、ログイン状態での貸し出し、ペアレンタルコントロール未設定、決済メールの見落としなど
  • 最優先の対策はアカウントのログオフ。10秒でできて効果が大きい
  • 子ども専用アカウント+ペアレンタルコントロールで、課金を承認制にする
  • カード情報の削除、キャリア決済の上限変更、決済メールの確認をセットで
  • 未成年者取消しは可能な場合があるが、保護者のアカウントでの課金は例外になりうる

今夜、子どもに端末を渡す前にログオフする。ここから始めるのが、いちばん確実です。


参考文献

  1. 国民生活センター「子どものオンラインゲーム 無断課金につながるあぶない場面に注意!!」(令和6年3月13日)
  2. 国民生活センター「同 報道発表資料(PDF)」
  3. 国民生活センター「「スマホを渡しただけなのに…」子どものオンラインゲーム課金のトラブルを防ぐには?」
  4. 国民生活センター「オンラインゲーム(各種相談の件数や傾向)」
  5. こども家庭庁「「青少年のインターネット利用環境実態調査」調査票・調査結果等」
  6. 総務省「インターネットトラブル事例集」

※返金の可否や手続きは、事業者・契約内容・状況によって異なります。個別の判断は消費生活センター等にご相談ください。

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