この記事の主な参照ソース
- こどもの救急 ONLINE-QQ(日本小児科学会監修) — 発熱時の受診判断チェックリスト
- 日本小児科学会 — 小児の発熱時の対応 — 家庭での対応方針・解熱剤の使用法
- 厚生労働省 #8000 — 夜間・休日の電話相談窓口
- 厚生労働省 保育所における発熱時の対応 — 発熱時の水分補給・環境調整
「子どもが急に熱を出した!」
夜中にお子さんの額に手をあてて、ドキッとした経験はありませんか?
「このまま様子を見ていいの?」「病院に行くべき?」「解熱剤は使っていいの?」と、次から次へと不安が押し寄せますよね。
実はこれ、意外と見落としがちなんですが、体温の数字だけで判断するのはNGなんです。
日本小児科学会の情報によると、大切なのは「体温」よりも「子どもの全体的な様子」。水分が摂れているか、ぐったりしていないか、呼吸は苦しそうでないか――こうしたポイントを総合的に見ることが重要とされています。
この記事では、公的機関と小児科学会の情報をもとに、子どもの発熱時の正しい対処法を徹底解説します。月齢別の注意点から解熱剤の使い方、冷やし方、受診の目安まで、これ一本で分かるようにまとめました。
子供の発熱は何度から?年齢別の基準を知ろう

まず最初に確認しておきたいのが、「そもそも何度から発熱なの?」という基準です。
赤ちゃんや小さな子どもは大人より平熱が高めで、36.5〜37.5℃程度が一般的な平熱の範囲とされています(花王 メリーズ スマイル子育てラボ)。
発熱の目安
| 体温 | 状態 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 36.5〜37.4℃ | 平熱の範囲 | 通常通りの生活でOK |
| 37.5〜37.9℃ | 微熱 | こまめに様子を観察 |
| 38.0〜38.9℃ | 発熱 | ホームケア+受診検討 |
| 39.0℃以上 | 高熱 | 状態を注意深く観察、必要に応じて受診 |
ここがポイントなんですが、同じ38℃でも「元気に遊んでいる」のと「ぐったりしている」のでは対応が全然違います。体温計の数字だけに振り回されないことが大切です。
お子さんの平熱を知っておこう
日頃から、元気なときに朝・昼・夕方の3回体温を測って平熱を把握しておくと、いざ発熱したときに「いつもよりどれくらい高いか」が分かります。
体温は1日の中でも変動しますので、食後や入浴後、泣いた後は避けて測るのがコツです。
【月齢・年齢別】発熱時の対応ポイント

お子さんの月齢や年齢によって、発熱時の対応は大きく変わります。
以下の表で全体像を把握してください。
| 月齢・年齢 | 発熱時の対応 | 緊急度 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 生後3ヶ月未満 | 38℃以上で即受診 | 高 | 免疫が未熟。時間帯を問わず医療機関へ |
| 生後3〜6ヶ月 | 38℃以上で慎重に観察。ぐったりしていれば受診 | やや高 | 哺乳量・機嫌を注意深くチェック |
| 6ヶ月〜2歳 | ホームケアをしつつ、状態で受診を判断 | 中 | 熱性けいれんに注意(6ヶ月〜5歳に多い) |
| 3歳以上 | 水分が摂れて元気なら、まず様子を見る | 低〜中 | 翌日以降にかかりつけ医を受診でもOK |
生後3ヶ月未満は「とにかく受診」
この月齢の赤ちゃんは免疫システムがまだ十分に発達していないため、発熱が重大な感染症のサインである可能性があります。
38℃以上の熱がある場合は、夜間・休日であっても早急に医療機関を受診してください(こどもの救急 ONLINE-QQ)。
生後3ヶ月以降の目安
日本小児科学会によると、経口摂取(哺乳)でき、普段通りに眠れていれば、緊急で救急外来を受診する必要はなく、翌日以降にかかりつけ医を受診してよいとされています(日本小児科学会)。
ただし、以下の症状がある場合は、月齢を問わずすぐに受診が必要です。
すぐに病院へ!緊急受診が必要な症状チェックリスト

「様子を見ていいのか、病院に行くべきか」――この判断が一番悩むところですよね。
以下のチェックリストで、1つでも当てはまれば速やかに医療機関を受診してください。
緊急受診チェックリスト
- ぐったりしている — 呼びかけに反応が薄い、意識がもうろうとしている
- 水分が全く摂れない — 哺乳を嫌がる、嘔吐を繰り返す
- 呼吸が苦しそう — ゼーゼーする、肩で息をしている、胸がペコペコへこむ
- 唇や爪が紫色 — チアノーゼ(酸素不足のサイン)
- けいれんが5分以上続く — または繰り返す
- 半日以上おしっこが出ていない — 脱水の可能性
- 体に発疹が急激に広がっている
判断に迷ったら、#8000(子ども医療電話相談事業)に電話してください。夜間・休日でも小児科医師や看護師からアドバイスが受けられます(厚生労働省)。
「様子を見てOK」な場合の目安
逆に、以下のすべてに当てはまるなら、慌てずにホームケアで様子を見て大丈夫です。
- 水分が摂れている(母乳・ミルク・お茶など)
- 機嫌がそこまで悪くない(泣くけど、あやせば落ち着く)
- 呼吸が普段と変わらない
- おしっこが出ている
この場合は、翌日のかかりつけ医受診で問題ないとされています。
発熱時のホームケア|冷やし方・水分補給・食事のコツ

ここからは、病院に行くまでの間や、自宅で看病するときの具体的なケア方法を解説します。
冷やし方のポイント:「段階」で変える
実はこれ、知らない方も多いんですが、熱の段階によって冷やすべきかどうかが違います。
| 熱の段階 | 子どもの状態 | 対応 |
|---|---|---|
| 上がり始め | 手足が冷たい、悪寒で震える | 温める(布団を1枚足す、手足をさする) |
| 上がりきった後 | 顔が赤い、手足も熱い | 冷やす(薄着にする、冷却) |
熱が上がりきったら、首の横・脇の下・足の付け根の3ヶ所を冷やすのが効果的です。これらは太い血管が通っている場所なので、効率よく体温を下げられます。
ただし、子どもが嫌がる場合は無理に冷やさなくて大丈夫です。 嫌がって泣き続けるほうがかえって体力を消耗してしまいます。
水分補給:少量ずつ、こまめに
厚生労働省のガイドラインでは、発熱時の水分補給は「少量ずつ、頻回に」が基本とされています(厚生労働省)。
おすすめの飲み物はこちら。
- 赤ちゃん — 母乳・ミルク(いつもより回数を増やす)
- 1歳以上 — 白湯、麦茶、子ども用経口補水液(OS-1など)
- 避けたいもの — 柑橘系ジュース(胃に負担)、冷たすぎる飲み物
1回にたくさん飲ませると吐いてしまうことがあります。スプーン1杯から始めて、少しずつ量を増やすのがコツです。
食事:無理に食べさせない
発熱すると胃腸のはたらきが弱まるため、食欲がなくなるのは自然なことです。
水分さえしっかり摂れていれば、無理に食べさせる必要はありません。
食べられそうなときは、おかゆ、うどん、バナナなど消化の良いものを少量ずつ与えてあげてください。脂っこいものや繊維質の多いものは胃腸への負担が大きいので避けましょう。
解熱剤の正しい使い方|何度から?どの薬?

「熱が高いから解熱剤を飲ませたい」と思うかもしれませんが、ここにもルールがあります。
解熱剤を使う目安
解熱剤は、38〜38.5℃以上で、子どもがつらそうにしている場合に使用を検討します(長田こどもクリニック)。
ここがポイントなんですが、体温だけで判断しないこと。
- 39℃あっても元気に遊んでいる → 無理に使わなくてOK
- 38℃でもぐったりして水分が摂れない → 使用を検討
解熱剤の目的は「熱を下げること」ではなく、「つらさを和らげて水分摂取や睡眠をとりやすくすること」です。
子どもに使える解熱剤・使えない解熱剤
| 分類 | 薬品名(例) | 子どもへの使用 |
|---|---|---|
| アセトアミノフェン | カロナール、アンヒバ坐薬、アルピニー坐薬 | OK(第一選択) |
| イブプロフェン | ブルフェン等 | 5歳以上で使用可 |
| ロキソプロフェン | ロキソニン等 | NG(小児禁忌) |
| アスピリン | バファリン等 | NG(ライ症候群のリスク) |
大人用の解熱剤(ロキソプロフェン、アスピリンなど)は、絶対に子どもに使わないでください。 特にインフルエンザの際は、ライ症候群や脳症のリスクがあるとされています(日本小児科学会)。
解熱剤の使い方ルール
- 投与間隔:前回の投与から6時間以上あける
- 1日の回数:最大3回まで
- 用量の目安:体重1kgあたり1回10〜15mg(※必ず処方に従ってください)
- 生後3ヶ月未満:アセトアミノフェンも使用不可。必ず受診を
解熱剤は常備薬として家に置いておくと安心です。かかりつけの小児科で事前に処方してもらうのがベストです。市販薬を使う場合も、必ず小児用かどうかを確認してください。
熱性けいれんが起きたら?落ち着いて対応する手順

発熱時に最も保護者が動揺するのが熱性けいれんです。
熱性けいれんは生後6ヶ月〜5歳のお子さんに多く、約30%の割合で再発するとされています(つちや小児科クリニック)。突然起きるので怖いですが、正しい対応を知っておけば落ち着いて行動できます。
けいれんが起きたときの対応手順
- 横向きに寝かせる — 嘔吐物で窒息しないように
- 時間を計る — けいれんが何分続いたかを記録する(スマホのタイマーが便利)
- 口に物を入れない — 舌を噛まないようにと箸やタオルを入れるのはNG。かえって危険です
- 衣服をゆるめる — ボタンやベルトを外して呼吸をしやすくする
- 5分以内に治まった場合 — 意識が戻ったら、落ち着いてから医療機関を受診
- 5分以上続く場合 — すぐに119番(救急車)を呼ぶ
やってはいけないこと
| NG行動 | 理由 |
|---|---|
| 体を揺する・叩く | けいれんは止まらない。かえって危険 |
| 口に物を入れる | 窒息・歯の損傷のリスク |
| 無理に抱き上げる | 嘔吐物による窒息の可能性 |
| 大声で叫ぶ | パニックは何も解決しない |
6歳を過ぎるころには熱性けいれんはほとんどなくなるとされています。初めて経験すると本当に怖いですが、多くの場合は後遺症なく回復しますので、まずは冷静に時間を計ることを覚えておいてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 子どもの熱は何度から病院に行くべきですか?
体温の数字だけでは判断できません。 ただし、生後3ヶ月未満で38℃以上の場合は月齢を問わず即受診が必要です。それ以上の月齢では、水分が摂れている・機嫌がそこまで悪くない・呼吸が普通であれば、翌日のかかりつけ医受診で問題ないとされています。ぐったりしている・水分が摂れない場合は速やかに受診してください。
Q2. 解熱剤は何度から使えばいいですか?
38〜38.5℃以上で、子どもがつらそうにしている場合が使用の目安です。高熱でも元気なら無理に使う必要はありません。解熱剤の目的は「熱を下げる」ことではなく、つらさを和らげて水分摂取や睡眠をサポートすることです。
Q3. 大人用の解熱剤を子どもに使ってもいいですか?
絶対にNGです。 ロキソプロフェン(ロキソニン)やアスピリン(バファリン)は小児への安全性が確認されておらず、特にインフルエンザの際はライ症候群や脳症のリスクがあります。子どもにはアセトアミノフェン(カロナール、アンヒバ坐薬など)のみ使用してください。
Q4. 夜中に熱が出たらどうすればいいですか?
まずは緊急受診チェックリスト(ぐったり・水分摂れない・呼吸困難・けいれん等)を確認してください。該当しなければ、水分補給と安静で朝まで様子を見て大丈夫です。判断に迷ったら#8000に電話しましょう。プッシュ回線の固定電話・携帯電話から利用できます。
Q5. 熱が3日以上下がりません。受診すべきですか?
はい、受診してください。 3日以上発熱が続く場合は、風邪以外の原因(中耳炎、尿路感染症、川崎病など)の可能性も考えられます。かかりつけの小児科を受診して、適切な検査を受けることをおすすめします。
Q6. お風呂は入れてもいいですか?
熱が上がりきって、子どもが比較的元気であれば、短時間のシャワーやぬるめのお風呂は問題ありません。 ただし、ぐったりしている場合や高熱(39℃以上)の場合は無理せず、温かいタオルで体を拭いてあげるだけにしましょう。入浴は体力を消耗するので、長湯は避けてください。
Q7. 熱性けいれんを起こしたことがあります。次の発熱時に予防できますか?
熱性けいれんの予防については、かかりつけの小児科医に相談してください。発熱時にジアゼパム坐薬(ダイアップ)を予防的に使用する方法がありますが、すべてのお子さんに必要なわけではありません。医師と相談の上、お子さんに合った対応を決めることが大切です。
まとめ:子どもの発熱、慌てないための3つの心得
子どもの発熱は保護者にとって大きな不安ですが、正しい知識があれば冷静に対応できます。
心得1:体温の数字より「子どもの様子」を見る
38℃でも39℃でも、水分が摂れていて機嫌がそこまで悪くなければ、慌てなくて大丈夫です。
心得2:迷ったら#8000に電話する
夜間・休日に「病院に行くべき?」と迷ったら、厚生労働省の#8000を活用してください。小児科医師や看護師がアドバイスしてくれます。
心得3:「生後3ヶ月未満の38℃以上」は即受診
この月齢だけは例外なく、すぐに医療機関を受診してください。
普段からお子さんの平熱を把握しておくこと、解熱剤(アセトアミノフェン)を常備しておくこと、かかりつけの小児科を決めておくことが、いざというときの安心につながります。
※本記事は医療アドバイスではありません。気になる症状がある場合は必ず医師に相談してください。