この記事の主な参照ソース
- 授乳・離乳の支援ガイド(2019年3月/こども家庭庁) — 離乳の段階と目安量
- 生後5か月からの「離乳スタートガイド」(こども家庭庁) — 開始のサインと進め方
- 子どもを事故から守る!プロジェクト(消費者庁) — 食品による窒息の注意
- こどもの事故防止ハンドブック(こども家庭庁) — 誤嚥・窒息の予防
スーパーの野菜コーナーがさつまいもとかぼちゃで埋まってくると、離乳食を作る側としては少しうれしくなります。甘くて、つぶしやすくて、冷凍もできる。秋は離乳食に向く食材が増える季節なんですよね。
ただ、「秋の食材」でくくると、月齢に合わないものも一緒に入ってきます。栗、きのこ、ぶどう、ナッツ入りのお菓子。このあたりは扱いが分かれます。
こども家庭庁の「授乳・離乳の支援ガイド」が示す段階に沿って、どの食材をいつから、どんな形で使えるかを整理します。
まず押さえる離乳の4段階

「授乳・離乳の支援ガイド」は、離乳の開始を「なめらかにすりつぶした状態の食物を初めて与えた時」と定義しています。
開始のサインとして示されているのは、次のような点です。
- 首のすわりがしっかりして寝返りができる
- 5秒以上座れる
- スプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる
- 食べ物に興味を示す
そして離乳の完了は生後12〜18か月ごろ、形のある食物をかみつぶすことができるようになり、エネルギーや栄養素の大部分が母乳・育児用ミルク以外から摂れるようになった状態と説明されています。
| 段階 | 月齢の目安 | 食物の形態 | 秋の食材の使い方 |
|---|---|---|---|
| 初期 | 5〜6か月ごろ | なめらかにすりつぶした状態 | さつまいも・かぼちゃ・にんじんを裏ごし |
| 中期 | 7〜8か月ごろ | 舌でつぶせる固さ | 5mm角程度のやわらか煮、しらす、白身魚 |
| 後期 | 9〜11か月ごろ | 歯ぐきでつぶせる固さ | 角切りの根菜、鮭のほぐし、りんごの加熱すりおろし |
| 完了期 | 12〜18か月ごろ | 歯ぐきでかめる固さ | 小さめの乱切り、きのこの細かい刻み |
ここがポイントなんですが、月齢は「目安」で、固さの基準のほうが実務的です。同じ月齢でも食べ方は違うので、その子が今どの固さを処理できているかで選ぶほうが失敗が減ります。
秋の食材を段階別に振り分ける

秋の定番食材を、使い始めやすい段階で分けるとこうなります。
| 食材 | 使い始めやすい段階 | 下ごしらえのポイント |
|---|---|---|
| さつまいも | 初期から | 皮をむいてやわらかく加熱し、裏ごし。水分を足してのばす |
| かぼちゃ | 初期から | 皮と種を除いて加熱。繊維が残るので初期は裏ごし |
| にんじん | 初期から | 加熱して裏ごし。甘みが出やすい |
| りんご・梨 | 初期から(加熱) | すりおろして加熱。生は後期以降に慎重に |
| 大根・かぶ | 中期から | やわらかく煮て刻む |
| 里芋 | 中期から | ぬめりを取って加熱。粘りが強いので少量から |
| しらす | 中期から | 塩抜きしてから使う |
| 鮭 | 後期から | 骨と皮を確実に取り、ほぐす |
| きのこ | 後期〜完了期 | かみ切りにくいので細かく刻む。少量から |
| れんこん | 完了期 | すりおろすか、ごく細かく刻む |
| 栗 | 完了期以降を慎重に | 粒のままは与えない。ペーストにする |
さつまいもとかぼちゃが人気なのは、甘みがあって、加熱すればつぶれて、冷凍しても味が落ちにくいという3点がそろっているからです。うちも初期はこの2つでほぼ回していました。
一方で、きのこ類とれんこんは「かみ切る」動作が必要になるので、後期以降で少量から試すほうが安全です。
下ごしらえと冷凍ストックのコツ

秋野菜は火が通るのに時間がかかるものが多いので、まとめて仕込むほうが楽です。
手順は4つです。
- 加熱する — 蒸す、またはゆでる。さつまいも・かぼちゃは電子レンジでも扱いやすい
- 月齢に合わせて形を整える — 初期は裏ごし、中期は5mm角、後期は角切り
- 製氷皿やシリコンカップに小分けする — 1回量ずつ
- 密閉して冷凍する — 日付を書いて、1週間程度で使い切る
出汁や湯冷ましでのばす分は、使うときに調整すると固さを合わせやすくなります。
秋野菜は水分が少なめのものが多いので、初期はのばす水分をやや多めに用意しておくと、なめらかさを作りやすくなります。
味つけは、離乳食の段階では基本的に不要です。素材の甘みが出やすい秋野菜は、この点でも扱いやすい食材になります。
進み具合の見方についても、ひとつ基準を持っておくと迷いが減ります。「授乳・離乳の支援ガイド」は、離乳食の進め方の目安として成長曲線のグラフに体重や身長を記入し、曲線のカーブに沿っているかどうかを確認するという考え方を示しています。1回の食事で食べた量に一喜一憂するより、数週間単位の体重の伸びを見るほうが判断材料になります。母子健康手帳の成長曲線に月1回書き込むだけで、進め方が合っているかの手がかりになります。食べる量には日によって波があるので、1日単位で評価しないほうが気持ちも楽です。
秋に気をつけたい食べ物

秋は行事食やおやつの種類が増える時期なので、注意する食べ物もはっきりさせておきます。
1. はちみつは1歳未満に与えない 乳児ボツリヌス症の危険があるため、1歳未満には与えません。加熱しても除けません。焼き菓子やパンに含まれていることがあるので、原材料の確認が必要です。
2. ぶどう・ミニトマトを丸ごと与えない 球形でつるっとしたものは、気道をふさぎやすい形です。消費者庁も食品による子どもの窒息事故について注意を呼びかけています。4等分など、小さく切ってから出します。
3. ナッツ類・豆類の粒は与えない 節分の豆やナッツは、かみ砕く力が育っていない時期には向きません。ペーストであれば別ですが、粒のままは避けます。
4. もち・団子は与えない 粘りがあって飲み込みにくいものは、離乳食の時期には使いません。
5. 栗の粒、干し芋の塊 かみ切りにくいものは、ペーストや細かく刻んだ形にします。
食物アレルギーが心配な食材については、初めて与えるときは平日の日中、少量からが基本の考え方です。日本小児アレルギー学会などの情報を参考に、かかりつけ医と方針を確認しておくと安心です。
やりがちなNGパターン

1. 新しい食材を夜や休日前に初めて与える 体調の変化があったときに受診しにくくなります。医療機関が開いている平日の日中に、初めての食材を試します。
2. 一度に2つ以上の新食材を試す 反応が出たときに、どちらが原因か分からなくなります。新しい食材は1つずつ。
3. 月齢だけで固さを決める 「7か月だから角切り」ではなく、その子が今つぶせているかで判断します。丸のみが続くようなら、いったん前の段階に戻します。
4. 大人の料理から味つけ後に取り分ける 塩分が多くなります。味つけ前に取り分けるか、別に作ります。
5. 冷凍ストックを長く置く 日付を書いて1週間程度で使い切ります。「いつのだっけ」となったものは使いません。
こんなときは小児科へ

次のような場合は、小児科に相談してください。
- 食後にじんましんが出た、顔やまぶたが腫れた
- せき込みが続く、呼吸が苦しそう、ぐったりしている
- 繰り返す嘔吐や下痢がある
- 離乳食を進めているのに体重の増えが思わしくない
- かまずに丸のみする状態が続く
- 食べ物を詰まらせた(詰まらせた直後は、まず対処と救急要請)
食物アレルギーが疑われる症状が出た場合は、何をどれだけ食べて何分後にどうなったかをメモしておくと、診察で役立ちます。
窒息が疑われる場面の応急手当については、こども家庭庁の「こどもの事故防止ハンドブック」に手順がまとめられています。落ち着いているときに一度読んでおくと違います。
よくある質問(FAQ)
Q1. さつまいもとかぼちゃはいつから使えますか?
どちらも離乳初期(5〜6か月ごろ)から使えます。加熱してから裏ごしして、なめらかな状態にします。かぼちゃは繊維が残りやすいので、初期はしっかり裏ごししてください。
Q2. きのこは離乳食に使えますか?
かみ切りにくい食材なので、後期(9〜11か月ごろ)以降に細かく刻んで少量から、というのが扱いやすい進め方です。丸のみしていないか様子を見ながら進めます。
Q3. りんごは生のまますりおろしてもいいですか?
初期は加熱してから与えるほうが消化の負担が少なくなります。生のすりおろしは、後期以降に少量から試すのが無難です。
Q4. はちみつはなぜ1歳未満に与えられないのですか?
乳児ボツリヌス症の危険があるためです。加熱しても除けません。焼き菓子やシリアル、パンに含まれていることがあるので、原材料表示を確認してください。
Q5. ぶどうは何歳から丸ごと食べられますか?
年齢だけでは決まりません。球形でつるっとした食品は気道をふさぎやすいため、しっかりかみ砕けるようになるまでは小さく切って出します。消費者庁も食品による窒息への注意を呼びかけています。
Q6. 冷凍ストックはどのくらい保存できますか?
家庭用の冷凍庫では、日付を書いて1週間程度で使い切るのが目安です。解凍後の再冷凍はしません。
まとめ
- 離乳の開始は「なめらかにすりつぶした状態の食物を初めて与えた時」、完了は12〜18か月ごろ
- 段階は初期(5〜6か月)/中期(7〜8か月)/後期(9〜11か月)/完了期(12〜18か月)
- 秋の食材では、さつまいも・かぼちゃ・にんじん・加熱したりんごが初期から使いやすい
- きのこ・れんこん・栗はかみ切る力が必要なので後期以降で少量から
- はちみつは1歳未満に与えない。ぶどう・ミニトマト・ナッツの粒・もちは形と固さで避ける
- 新しい食材は平日の日中に1つずつ
- 月齢ではなく今つぶせている固さで選ぶ
秋の食材は、離乳食にとって扱いやすいものが多い季節です。使える段階を先に分けておけば、旬のものをそのまま食卓に乗せられます。
※本記事は医療アドバイスではありません。気になる症状がある場合は必ず医師に相談してください