この記事の主な参照ソース
- 花粉情報サイト(環境省) — 花粉の飛散情報
- 花粉症環境保健マニュアル2022(環境省) — 原因植物と飛散季節
- 花粉症環境保健マニュアル 第2章(環境省) — 花粉の種類
- 花粉症対策(厚生労働省) — 治療とセルフケアの考え方
9月に入って、子どもの鼻水が止まらない。目をこすっている。でも熱はない。
園から「かぜが流行っています」と連絡が来ていたので最初はかぜだと思っていたのですが、2週間たっても鼻水がサラサラのまま。……これ、花粉症の可能性はないでしょうか。
花粉症は春だけのものではありません。 環境省の資料では、キク科のブタクサやヨモギなどが夏の終わりから秋に花粉を飛ばすことが示されています。
秋に鼻の症状が続くとき、何を手がかりに切り分けるのか。家でできる対策と、受診を考える目安まで整理します。
秋に飛ぶ花粉の種類と時期

環境省の「花粉症環境保健マニュアル」では、キク科のブタクサやヨモギ、アサ科のカナムグラが夏の終わりから秋に花粉を飛ばすと説明されています。キク科の場合は真夏から初秋にかけて飛散するという記述もあります。
秋の主な原因植物を並べると、こうなります。
| 植物 | 科 | 飛散の時期の目安 | 生えている場所 |
|---|---|---|---|
| ブタクサ・オオブタクサ | キク科 | 夏の終わり〜秋 | 河川敷、空き地、道端 |
| ヨモギ | キク科 | 夏の終わり〜秋 | 土手、公園の草地、道端 |
| カナムグラ | アサ科 | 秋 | やぶ、フェンス沿い、空き地 |
| イネ科(カモガヤ、オオアワガエリ等) | イネ科 | 春〜秋(種により幅がある) | 草地、グラウンドの周り |
マニュアルには、これまでに約60種類の花粉アレルギーが報告されていることも記されています。スギ・ヒノキが有名なだけで、原因になる植物はもっと多いわけです。
秋の花粉には、春のスギ花粉と違う特徴があります。背の低い草の花粉なので、飛ぶ距離が比較的短いという点です。つまり、生えている場所の近くで症状が出やすくなります。河川敷の散歩コース、公園の草地、園庭のフェンス沿い。心当たりのある場所がある方も多いのではないでしょうか。
かぜと花粉症を分ける6つの手がかり

見分けるポイントは1つでは決まりません。複数を組み合わせて見ます。
| 手がかり | かぜに多い | 花粉症に多い |
|---|---|---|
| 発熱 | 出ることがある | 通常は出ない |
| 鼻水の性状 | 初めは水っぽく、数日で粘りが出て色がつくことがある | 水のようにサラサラのまま続く |
| くしゃみ | 数回 | 連続して何回も出る |
| 目のかゆみ | 少ない | 目をこする、こすって赤くなる |
| 続く期間 | 1週間前後で落ち着くことが多い | 数週間〜シーズン中続く |
| 時間帯・天候 | 一日を通して大きくは変わらない | 外出後や風の強い日、晴れた日に強くなる |
| のどの痛み | 出ることがある | のどのイガイガ程度 |
いちばん実用的なのは「続く期間」と「天候での変化」です。2週間以上サラサラの鼻水が続き、風の強い日や外遊びのあとに悪化する。この組み合わせが出ていたら、花粉やほかのアレルギーの可能性を医師に相談する価値があります。
ここがポイントなんですが、かぜと花粉症は同時に起こることもあります。 どちらかに決めつけると対応を誤るので、「両方かもしれない」で受診するのが実際的です。
家庭でできる対策5つ

秋の花粉は飛ぶ距離が短いので、「どこで浴びたか」に手を打てるのが春との違いです。
1. 帰宅後に顔と手を洗う 花粉は顔や髪、衣類につきます。帰ったらまず洗面所へ。目のかゆみが強いときは、目のまわりも洗い流します。
2. 上着は玄関で脱ぐ リビングに持ち込まないだけで、家の中の量が変わります。園バッグも玄関に置き場所を作ります。
3. 洗濯物・布団の外干しを見直す 症状が強い時期は、室内干しや乾燥機を使うのも手です。取り込むときに払うだけでも違います。
4. 草地の近くを通るルートを変える 河川敷、草が伸びた空き地、フェンス沿いのやぶ。散歩コースを1本ずらすだけで浴びる量が変わります。
5. 症状の記録をつける 「9/12 外遊び後にくしゃみ連続・鼻水サラサラ」程度でよいので、日付と場面をメモします。受診したときに、これがそのまま説明材料になります。
環境省の花粉情報サイトでは飛散情報を確認できます。地域と時期の傾向を知っておくと、対策のスイッチを入れるタイミングが読めます。
記録のつけ方についても、ひとつコツがあります。症状の強さを3段階にして、日付と場面だけを書く方法です。「9/12 外遊び後・くしゃみ連続・強」「9/13 室内で過ごす・弱」のように、2週間分並べると傾向が見えてきます。外にいた日だけ強くなっているのか、天候と連動しているのか、それとも日によらず一定なのか。この3パターンのどれに当てはまるかで、花粉が関わっている可能性の見当がつきます。かぜであれば、外出の有無とは関係なく数日で山を越えることが多いので、そこも見分けの材料になります。
秋は運動会シーズンと重なります。練習が続く時期に症状が強く出る場合は、園や学校に伝えておくと配慮してもらいやすくなります。
受診では何を伝えるか

秋の鼻の症状で受診するとき、次の5点があると話が早く進みます。
| 伝えること | 具体例 |
|---|---|
| いつからか | 「9月頭から3週間」 |
| 強くなる場面 | 「外遊びのあと」「風の強い日」「朝」 |
| 発熱の有無 | 「ずっと平熱」 |
| 家族のアレルギー歴 | 「父がスギ花粉症」「兄がぜんそく」 |
| 使った市販薬 | 薬の名前と使った期間 |
受診先は、鼻の症状が中心なら小児科または耳鼻咽喉科、目のかゆみが強ければ眼科も選択肢に入ります。園や学校での様子(授業や活動に支障が出ているか)も伝えると、治療の方針を決める材料になります。
子どもの薬は、年齢と体重で使えるものが変わります。 大人用の市販薬を分けて使うのは避けて、受診して確認してください。
厚生労働省の花粉症のページでも、治療とセルフケアを組み合わせる考え方が示されています。
よくある誤解とNGパターン

1. 「花粉症は春だけ」 環境省の資料は、キク科・アサ科の植物が夏の終わりから秋に花粉を飛ばすことを示しています。約60種類の花粉アレルギーが報告されているという記述もあります。
2. 「子どもは花粉症にならない」 年齢で線が引かれるものではありません。症状が続くようなら、年齢を理由に相談を後回しにしないほうがよいでしょう。
3. 「熱がないなら様子見でいい」 発熱がないのは花粉症を疑う手がかりの1つですが、様子見の理由にはなりません。鼻づまりが続くと睡眠や食事に影響します。
4. 「大人の市販薬を半分にして飲ませる」 子どもの薬は年齢と体重で扱いが変わります。分割して使うのは避けてください。
5. 「症状が出てから対策を始める」 飛散情報を見て、時期に合わせて生活側の対策(帰宅後の洗顔、上着の置き場所)を先に立てておくほうが楽です。
こんなときは小児科・耳鼻咽喉科へ

次のような場合は受診を検討してください。
- 鼻づまりで夜眠れない、いびきや口呼吸が続く
- 目をこすりすぎて赤くなる、まぶたが腫れる
- せきが続く、息が苦しそう、ゼーゼーする音がある
- サラサラの鼻水が2週間以上続いている
- 食事や遊び、園・学校の活動に支障が出ている
- 市販薬を使っても改善しない
息が苦しそう、顔色が悪い、ゼーゼーする音があるといった様子があるときは、その日のうちに医療機関に連絡してください。夜間・休日は♯8000(小児救急電話相談)が使えます。
鼻づまりが睡眠に影響している場合は、いびきや無呼吸の相談としても耳鼻咽喉科で診てもらえます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 秋の花粉症の原因は何ですか?
環境省の資料では、キク科のブタクサ・オオブタクサ・ヨモギ、アサ科のカナムグラなどが夏の終わりから秋に花粉を飛ばすとされています。イネ科の植物も種類によって秋まで飛散します。
Q2. 春に症状がなかったのに、秋だけ症状が出ることはありますか?
原因となる植物が違うので、季節によって症状の出方が変わることはあります。約60種類の花粉アレルギーが報告されているとされ、スギ以外の花粉が原因になることも珍しくありません。
Q3. かぜと花粉症、どちらか分かる決定的な違いはありますか?
1つの症状では決まりません。発熱の有無、鼻水がサラサラのまま続くか、続く期間、天候や外出での変化を組み合わせて見ます。両方が同時に起こることもあります。
Q4. 何歳から検査を受けられますか?
年齢の下限が一律に決まっているものではなく、症状や必要性で判断されます。検査の可否や方法は受診先で確認してください。
Q5. 洗濯物は外に干さないほうがいいですか?
症状が強い時期は室内干しや乾燥機を使うのも一つの方法です。外干しした場合は、取り込むときに払うと持ち込む量が減ります。
Q6. 秋の花粉は春より飛ぶ距離が短いと聞きました。本当ですか?
秋の主な原因は背の低い草なので、樹木の花粉と比べて飛散する距離が短いとされています。そのため、生えている場所を避けるという対策が効きやすくなります。
まとめ
- 秋はブタクサ・オオブタクサ・ヨモギ(キク科)、カナムグラ(アサ科)などが花粉を飛ばす
- これまでに約60種類の花粉アレルギーが報告されている
- かぜと分ける手がかりは発熱の有無・鼻水の性状・続く期間・天候での変化
- 2週間以上サラサラの鼻水+外遊び後や風の強い日に悪化なら相談の価値がある
- 秋の花粉は飛ぶ距離が短いので、通るルートを変える対策が効きやすい
- 帰宅後の洗顔、上着を玄関で脱ぐ、外干しの見直しが家庭側の基本
- 鼻づまりで眠れない、口呼吸が続く、2週間以上続くときは受診
秋の鼻水を「またかぜか」で流してしまうと、シーズン中ずっと続くことがあります。記録を2週間つけるだけで、判断材料はかなりそろいます。
※本記事は医療アドバイスではありません。気になる症状がある場合は必ず医師に相談してください