この記事の主な参照ソース
- 就学時の健康診断(文部科学省) — 健診の目的と実施主体
- 学校保健安全法施行令(e-Gov) — 健診を行う時期の法的な定め
- 新1年生を交通事故から守るには?(政府広報オンライン) — 小1が事故に遭いやすい理由と対策
- 令和7年交通安全白書(内閣府) — 学年別の歩行中死傷者データ
- 就学援助制度について(文部科学省) — 学用品費などの支援
秋になると、封筒が届きます。「就学時健康診断のお知らせ」。あれを見てはじめて、来年の春が現実になった気がした——そんな声をよく聞きます。
小学校の入学準備は、名前つけと文房具の買い物だと思われがちです。実際にやってみると、時間がかかるのは物より生活のリズムと安全の練習のほうでした。
この記事では、公的資料をもとに「いつ・何を」を時期順に並べています。買い物リストは学校からの指定が出てから、が鉄則です。
まず全体像|9月から4月までのスケジュール

自治体で前後しますが、大枠はこの順で動きます。
| 時期 | 学校・自治体側の動き | 家庭でやること |
|---|---|---|
| 9〜10月 | 学童保育の募集要項公開 | 就労証明書の依頼、学童の見学 |
| 10〜11月 | 就学時健康診断の案内・実施 | 健診に参加、気になる点を相談 |
| 1月ごろ | 入学通知書の送付 | 記載内容の確認、住所変更があれば連絡 |
| 2月ごろ | 入学説明会・用品販売 | 指定品リストの受け取り、採寸 |
| 3月 | 通学班の連絡・登校時間の案内 | 用品の購入、名前つけ、通学路歩き |
| 4月 | 入学式・給食開始(数日後) | 起床時間の前倒し、下校後の受け皿確保 |
買い物を先に済ませたくなりますが、筆箱・のり・はさみ・下敷きは学校指定があることが多いです。2月の説明会でリストが出てから動くほうが、買い直しが減ります。
就学時健康診断は「11月30日まで」に行われます

就学時健康診断は、市町村の教育委員会が行うものです(文部科学省)。実施時期は法令で決まっていて、学校保健安全法施行令第1条により、学齢簿が作成されたあと翌学年の初めから4か月前(=就学前年の11月30日)までに行うとされています。
内容は自治体で多少異なりますが、内科・歯科・視力・聴力の検査と、簡単なやりとりを通した発達の確認が中心です。学校の場所や雰囲気を子どもが先に体験できる日、と考えると気が楽になります。
この日に相談しておくと後が楽なことは次のとおりです。
- 言葉のやりとり、集団での指示の通り方で気になる点
- 食物アレルギー(給食の対応につながります)
- 持病・服薬・発作歴
- 視力や聞こえの心配(黒板が見えにくい、聞き返しが多い)
- 通学に不安のある身体の状態
健診で「要精密検査」の紙をもらうと不安になりますが、これは診断ではなく医療機関で詳しく見てもらってください、という案内です。入学前に一度受診して結果を学校に伝えられれば、席の配置や配慮につながります。
持ち物リスト|「指定品」と「自由に選ぶもの」を分ける

大きく2つに分かれます。
学校が指定する・学校でまとめて買うもの(2月の説明会以降)
- 体操服、赤白帽、上履き、上履き袋
- 算数セット、鍵盤ハーモニカ、書写用具(学年に応じて)
- 連絡帳、連絡袋、名札
- 給食エプロン・給食袋(学校で共用の場合もあり)
家庭で選ぶもの
- ランドセル、雨の日カバー
- 筆箱・鉛筆(濃さの指定があることが多い)・赤鉛筆・消しゴム・下敷き
- はさみ、のり、色鉛筆、クーピー
- 水筒(子どもが自分で開けられるか要確認)
- 傘、レインコート、長靴
- ハンカチ・ティッシュを入れるポケットのある服
そして最大の山場が名前つけです。算数セットのおはじき一つひとつに名前を書く、というあれです。お名前シールを使う、油性ペンを2種類(細字・極細)用意する、テプラを借りる——どれでも構いませんが、2月中に道具だけ揃えておくと3月が穏やかになります。
ランドセルの中身については、文部科学省が2018年に「児童生徒の携行品に係る配慮について」という事務連絡を出し、家庭学習で使わない教材を学校に置いて帰る配慮を各学校に求めています。荷物が重すぎると感じたら、学校に相談してよい話だと知っておくと気持ちが違います。
生活面で仕込む5つ|物より時間がかかるのはこちら

小学校は、保育園ほど大人が先回りしません。自分で気づいて動く場面が急に増えます。1日でできるようにはならないので、12月から少しずつ始めます。
| 時期 | 練習すること | 目安 |
|---|---|---|
| 12月まで | 起床・就寝時間を学校仕様に寄せる/和式も含めたトイレ/脱いだ服をたたむ | 声かけありでできればOK |
| 1〜2月 | 自分の持ち物を自分でカバンに入れる/ハンカチを毎日ポケットに/名前を書く・読む | 半分は自分で気づける |
| 3月 | 学校までの道を親子で歩く/登校時刻に合わせて起きる/「トイレに行きたい」「わかりません」を言う練習 | 前日の準備を自分でする |
このなかで見落とされがちなのが、「困ったと言える」です。授業中にトイレに行きたくなったとき、道具を忘れたとき、体調が悪いとき。黙って我慢する子は少なくありません。家で「言えたね」と拾って褒めておくと、学校で声が出やすくなります。
和式トイレの練習も、学校の設備によっては必要になります。就学時健診や説明会で校舎を見る機会があれば、トイレの様式をチェックしておくと備えられます。
通学路の安全|小1の歩行中事故は6年生の約2.5倍

ここは数字を見ておいてほしいところです。内閣府の令和7年交通安全白書によると、2021年から2025年の5年間で、歩行中に死亡または重傷を負った小学生は、1年生が415人で最も多く、6年生の167人の約2.5倍でした。政府広報オンラインも、新1年生を交通事故から守る必要性を繰り返し呼びかけています。
理由は難しくありません。1年生は身長が低くて運転者から見えにくく、車のかげから飛び出しやすく、そして「見たつもり」で渡ってしまいます。
3月にやっておきたいのは、この3つです。
- 登校時刻に合わせて実際に歩く — 昼と朝では交通量も日差しもまったく違います。
- 危ない場所で立ち止まって言葉にする — 「ここは車が来ても見えないね」と、子ども自身に言わせます。
- 一人になる区間を把握する — 集合場所までの道、下校時に友達と別れたあとの区間が、事故も防犯もリスクが上がります。
登下校中に「ここで待っていて」と知らない大人に声をかけられたときの対応も、この時期に一度話しておくと自然です。
お金の話|入学前にかかるものと、就学援助の入学前支給

入学時にまとまった支出が来ます。ランドセル、体操服、上履き、算数セット、学用品、そして4月からの給食費や教材費です。金額は地域と学校で幅があるため、説明会で配られる資料で確認してください。
負担が重いと感じたら、就学援助制度があります。文部科学省の就学援助ポータルサイトでは、学用品費・給食費・修学旅行費などの援助について案内されています。実施主体は市区町村で、対象の基準や金額は自治体ごとに違います。
覚えておきたいのが、新入学のための費用(新入学児童生徒学用品費)を入学前の3月に前倒しで支給する自治体が増えていることです。前年度の10月〜1月ごろに申請を受け付ける例が多いため、秋の時点で教育委員会のサイトを一度見ておくと取り逃しません。
よくある誤解とNG例

誤解1:早く買っておくほど安心 文房具は学校指定が多く、先に買うと買い直しになります。先に動いていいのは、ランドセル・学童の申し込み・就学援助の申請の3つです。
誤解2:入学前にひらがなを全部書けないと困る 小学校ではひらがなから学習が始まります。先取りより、自分の名前が読めて書けることと、鉛筆を正しく持てることのほうが日々に効きます。
誤解3:就学時健診で何か言われたら、入学に問題がある 健診は選抜ではありません。配慮が必要かどうかを早めに把握し、学校側の準備につなげるためのものです。指摘は「詳しく見ておきましょう」という合図と受け取ってください。
誤解4:ランドセルは高いほど良い 背負ったときのフィット感と、子ども自身が毎日使いたいと思えるかが実用面では大きく効きます。価格帯と満足度は必ずしも一致しません。
NG例:4月1日から通常運転の勤務予定を組む 入学式の翌日から給食が始まるとは限らず、最初の1週間は午前中で下校する学校が多いです。4月上旬は早退・在宅・休暇を厚めに置いておくと、初日から崩れずに済みます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 就学時健康診断はいつ行われますか?
学校保健安全法施行令第1条により、翌学年の初めから4か月前、つまり就学前年の11月30日までに実施することとされています。実施日は市町村の教育委員会が決め、10〜11月に案内が届くのが一般的です。
Q2. 就学時健診を欠席してしまったら、どうすればいいですか?
まず教育委員会に連絡してください。予備日を設けている自治体や、指定医療機関での受診で代替できる自治体があります。放置すると入学後の健康情報が学校に渡らないため、必ず連絡を入れます。
Q3. 入学準備はいつから始めればいいですか?
学童の申し込み(10〜12月ごろ)と就学援助の申請(自治体により10〜1月ごろ)が最も早い締切です。文房具などの物の準備は、2月の説明会で指定品リストが出てからで間に合います。
Q4. ひらがなや計算は、どこまでできていれば安心ですか?
学習内容は入学後にゼロから始まります。準備として効くのは、自分の名前の読み書き、鉛筆の持ち方、話を最後まで聞くこと、45分座っていられることです。先取り学習よりも生活面の練習を優先してください。
Q5. 通学路の練習はいつ、何回すればいいですか?
3月に、実際の登校時刻に合わせて数回歩くのがおすすめです。危険な場所では立ち止まり、子ども自身に「なぜ危ないか」を言わせます。小1は歩行中の死者・重傷者が6年生の約2.5倍というデータがあり、練習の価値が大きい学年です。
Q6. 入学時の費用が心配です。支援制度はありますか?
就学援助制度があり、学用品費・給食費などの援助を市区町村が実施しています。新入学に必要な費用を入学前の3月に前倒し支給する自治体も増えており、申請受付は前年度の秋から冬にかけて行われることが多いです。お住まいの教育委員会にご確認ください。
Q7. 4月から在宅勤務を減らす予定です。何に気をつければいいですか?
最初の1週間は午前授業で下校する学校が多く、給食開始日も学校ごとに違います。入学式の案内で日程を確認し、4月上旬は勤務を厚く固めないでください。学童の開所時間と下校時刻がずれる日がないかも要チェックです。
まとめ
- 就学時健康診断は就学前年の11月30日までに行われる。心配ごとを相談する場として使う
- 文房具は学校指定が多い。先に動くのは学童の申し込み・就学援助の申請・ランドセルの3つ
- 生活面は12月から段階的に。特に「困ったと言える」練習が入学後に効く
- 小1の歩行中の死者・重傷者は6年生の約2.5倍。3月に登校時刻で通学路を歩く
- 費用が心配なら就学援助制度。新入学費用の入学前支給を行う自治体がある
- 4月上旬は午前授業が続く。勤務予定を詰め込まない
準備リストを全部やろうとすると息切れします。10月に学童、11月に健診、2月に指定品、3月に通学路——この4つだけ押さえておけば、あとは春に間に合います。
参考文献
- 文部科学省「就学時の健康診断」
- e-Gov 法令検索「学校保健安全法施行令」(第1条 就学時の健康診断の時期)
- 内閣府「令和7年交通安全白書 第1節 状態別にみた小学生の交通事故の状況」
- 政府広報オンライン「小学校1年生の歩行中の死者・重傷者は6年生の約2.5倍。新1年生を交通事故から守るには?」
- 文部科学省「就学援助制度について(就学援助ポータルサイト)」
- 文部科学省「児童生徒の携行品に係る配慮について」
※本記事は一般的な情報提供です。指定品・費用・手続きの詳細は、入学予定校および市区町村教育委員会の案内をご確認ください。