妊娠後期に入ると、「夕方には靴下のあとがくっきり」「足がパンパンで靴がきつい」と感じるプレママはとても多いもの。実際、むくみ(浮腫)はほとんどの妊婦さんが経験する、ごく一般的な変化とされています。
とはいえ、つらいむくみは少しでもラクにしたいですし、なかには注意が必要なむくみもあります。「これって普通のむくみ?それとも受診すべき?」——その見極めができれば、必要以上に不安にならずにすみますね。
この記事では、妊娠後期にむくみが起こる原因、今日からできる対策、食事の工夫、そしてすぐ受診すべきサインまでを、信頼できる情報をもとに整理します。
この記事の主な参照ソース
- 妊娠高血圧症候群|公益社団法人 日本産科婦人科学会 — むくみと妊娠高血圧症候群の関係、注意すべき症状
- 妊娠後半にみられるむくみ|MSDマニュアル家庭版 — むくみの仕組みと受診の考え方
- 妊婦さん向けむくみ解消法【産婦人科医監修】|mitas series — 具体的な対策
妊娠後期のむくみはなぜ起こる?

妊娠中は、赤ちゃんに栄養と酸素を届けるために、血液や水分の量が大きく増えます。この増えた水分が血管の外にしみ出しやすくなることが、むくみの基本的な仕組みです。
加えて、後期になると大きくなった子宮が下半身の太い静脈を圧迫し、足から心臓へ戻る血流が滞りがちに。そこへホルモンの影響で体が水分をためこみやすくなることも重なり、特に足やふくらはぎ、夕方にかけてのむくみが目立つようになります。
日本産科婦人科学会の情報によると、むくみは全妊婦さんの30〜80%に認められるほど一般的で、「むくみがある=赤ちゃんに影響する」わけではないことも分かってきています。だからこそ、まずは「多くの人が経験する自然な変化」と知っておくことが、安心の第一歩です。
むくみやすい部位と時間帯

妊娠後期のむくみには、出やすい場所と時間帯の傾向があります。
| 部位・タイミング | 特徴 | ひとことメモ |
|---|---|---|
| ふくらはぎ・足首・足の甲 | 最もむくみやすい | 靴下のあと・靴のきつさで気づきやすい |
| 手・指 | 指輪がきつくなる | 朝に強く感じる人も |
| 夕方〜夜 | 日中の活動でたまった水分で悪化 | 横になって休むと軽くなることが多い |
| 立ち仕事・座りっぱなしの後 | 血流が滞り強まる | こまめに体勢を変えると◯ |
朝は軽く、夕方にかけて重くなる——これが「生理的なむくみ」によくあるパターンです。逆に、朝起きた時点で顔やまぶたまで強くむくむ・急に悪化するときは、後述の注意サインに当てはまらないか確認しましょう。
今日からできるむくみ対策

むくみを完全になくすのは難しくても、和らげる工夫はたくさんあります。無理のない範囲で取り入れてみましょう。
- 足を高くして休む:横になり、クッションなどで足を心臓より少し高くすると、たまった血液が戻りやすくなります。
- 着圧ソックスを使う:妊婦用の着圧ソックスは、足の血流をサポート。きつすぎるものは避け、サイズの合うものを選びましょう。
- 適度に体を動かす:散歩や足首の曲げ伸ばし・回す運動で、ふくらはぎの“ポンプ”を働かせます。長時間同じ姿勢を避けるのもポイント。
- 体を冷やさない:冷えは血流を悪くします。夏でも足元を冷やしすぎないように。
- 横向きで休む:あおむけより横向き(特に左側を下に)のほうが、子宮による静脈の圧迫がやわらぐとされます。
マッサージは、足先から心臓に向かってやさしくさする程度に。強くもみすぎず、気持ちいいと感じる範囲で行いましょう。
食事と水分のとり方

食事も、むくみ対策の大切な要素です。ただし、極端な制限は禁物。バランスを意識しましょう。
- 塩分は控えめに:塩分のとりすぎは水分をためこみやすくします。味つけはうす味を意識し、加工食品やスナックのとりすぎに注意。
- たんぱく質をしっかり:肉・魚・大豆製品・卵などのたんぱく質は、血管内に水分を保つはたらきに関わります。
- カリウムを含む食材を適度に:野菜・果物・いもなどに含まれるカリウムは、塩分のバランスを整える助けに。持病がある場合は主治医に相談を。
- 水分は控えすぎない:「むくむから水を減らす」は逆効果になりがち。のどが渇いたら適切に補給しましょう。
食事制限が必要かどうかは人によって異なります。体重増加や血圧の管理について気になることは、妊婦健診で相談するのが確実です。
要注意!すぐ受診すべきサイン

多くのむくみは心配のいらない生理的なものですが、次のようなサインがあるときは、妊娠高血圧症候群など注意すべき状態が隠れていることがあります。日本産科婦人科学会も、これらの症状に注意するよう呼びかけています。
- これまで経験したことのないような強い頭痛
- 目がチカチカする・見えにくい・視界がぼやける
- ろれつが回りにくい・手足が動かしにくい
- ふだんと違うみぞおち(胃)の痛みや吐き気
- 急に体重が増える・顔やまぶたまで強くむくむ
これらがあるときは、すぐに産婦人科へ連絡してください。なお、現在では「むくみ」単独は妊娠高血圧症候群の診断項目からは外されていますが、上記のような症状を伴うむくみは要注意です。妊娠高血圧症候群の早期発見には、定期的な妊婦健診を欠かさないことが何より大切です。
※本記事は医療アドバイスではありません。気になる症状がある場合は必ず産婦人科・かかりつけ医に相談してください。
よくある誤解・NG例

- 「むくむから水分を控える」:水分を減らすと、かえって体が水分をためこもうとすることがあります。のどが渇いたら適切に補給しましょう。
- 「むくみ=必ず病気のサイン」と思い込む:妊娠後期のむくみの多くは生理的なもの。ただし、強い頭痛・視覚異常・急な体重増加を伴うときは別。サインを知って見極めることが大切です。
- 「とにかく塩分を断てばいい」と極端に制限する:うす味は大切ですが、極端な制限は栄養バランスを崩します。健診で相談しながら、無理のない範囲で調整しましょう。
よくある質問(FAQ)

Q1. むくみはいつごろから出やすいですか?
個人差はありますが、妊娠中期から後期にかけて感じる人が増え、特に後期に目立ちやすくなります。夕方に強くなるのが典型的なパターンです。
Q2. 産後もむくみは続きますか?
出産後、体内の余分な水分が排出される過程で、一時的にむくみを感じることもあります。多くは徐々に落ち着いていきますが、強い症状が続く場合は受診しましょう。
Q3. マッサージは強くしてもいいですか?
強くもむ必要はありません。足先から心臓に向かって、やさしくさする程度で十分です。痛みを感じるほど強く行うのは避けましょう。
Q4. 着圧ソックスは寝るときも履いていい?
製品によって日中用・就寝用が分かれています。きつすぎるものを長時間履くのは避け、用途に合ったものを。心配なときは助産師や主治医に相談しましょう。
Q5. むくみで赤ちゃんに影響はありますか?
生理的なむくみそのものが赤ちゃんに悪影響を及ぼすわけではないとされています。ただし、強い頭痛・視覚異常などを伴う場合は別の問題のサインのことがあるため、受診してください。
まとめ
妊娠後期のむくみは、血液・水分量の増加、子宮による静脈の圧迫、ホルモンの影響が重なって起こる、多くの妊婦さんが経験する自然な変化です。足を高くして休む・着圧ソックス・適度な運動・冷え対策・横向きで休む、そしてうす味の食事で、つらさはかなり和らげられます。
大切なのは、「これまでにない強い頭痛・視覚異常・急な体重増加・顔まで強くむくむ」といったサインを見逃さないこと。気になるときは迷わず産婦人科へ。定期健診を続けながら、後期のマタニティライフを少しでも快適に過ごしてくださいね。