この記事の主な参照ソース
- 赤ちゃんの月齢別睡眠時間の目安と整え方(ベネッセ) — 月齢別の睡眠時間データと整え方の実践アドバイス
- 未就学児の睡眠指針(厚生労働省) — 国の公式ガイドラインにおける乳幼児の睡眠推奨時間
- 小児の睡眠に関するガイドライン(日本小児科学会) — 医学的根拠に基づく小児睡眠の推奨事項
結論からお伝えすると、赤ちゃんの1日の睡眠時間は新生児で約16〜20時間、1歳で約11〜14時間が目安です。ただし、個人差が大きいため「目安より少し多い・少ない」程度であれば過度に心配する必要はありません。気になる場合はかかりつけ医に相談しましょう。
「うちの子、寝すぎじゃない?」「逆に全然寝てくれない…」。赤ちゃんの睡眠時間は、新米ママ・パパがもっとも気になるテーマのひとつです。
この記事では、厚生労働省や日本小児科学会のガイドラインを踏まえ、月齢ごとの睡眠時間の目安と、生活リズムを無理なく整えるための具体的なコツを解説します。さらに、よくある誤解や「こんなときは受診すべき?」という判断基準もお伝えします。

赤ちゃんの睡眠が大人と違う3つの理由
実はこれ、意外と見落としがちなんですが、赤ちゃんの眠りは大人とは根本的に仕組みが異なるんです。「寝つきが悪い」「すぐ起きる」と感じても、それはよくある発達の一過程であることが多いのです。
1. 浅い眠り(レム睡眠)の割合が多い
大人のレム睡眠(浅い眠り)は全体の約20%ですが、新生児ではおよそ50%を占めます。……半分が浅い眠りなんですね。レム睡眠は脳の発達に重要な役割を果たしているため、赤ちゃんにとっては必要な睡眠パターンです。ちょっとした物音や明るさの変化で起きやすいのは自然なことであり、「眠りが浅い子」ではなく「発達の過程にある子」と捉えましょう。
2. 睡眠サイクルが短い
大人の睡眠サイクルは約90分ですが、赤ちゃんは約40〜60分。サイクルの切り替わりで目が覚めやすく、自力で再入眠できないと泣くことがあります。これは「夜泣き」として知られる現象の主な原因のひとつです。月齢が進むにつれて睡眠サイクルは徐々に長くなり、自力で再入眠できるようになります。
3. 体内時計が未発達
生まれたばかりの赤ちゃんには昼夜の区別がありません。体内時計(概日リズム)が安定してくるのは生後3〜4ヶ月ごろ。それまでは2〜3時間おきに起きるのはよくある発達の過程です。光の刺激や授乳リズムを通じて、体内時計は少しずつ整っていきます。

月齢別・睡眠時間の目安一覧
この章の主な根拠
以下はあくまで目安です。お子さんの機嫌がよく、体重が順調に増えていれば、多少の差は問題ありません。
| 月齢 | 1日の総睡眠時間 | 夜間睡眠 | 昼寝の回数 | 昼寝の合計 |
|---|---|---|---|---|
| 新生児(0〜1ヶ月) | 16〜20時間 | 昼夜の区別なし | 区別なし | — |
| 生後2〜3ヶ月 | 14〜17時間 | 4〜5時間連続 | 3〜4回 | 5〜7時間 |
| 生後4〜6ヶ月 | 13〜15時間 | 6〜8時間連続 | 2〜3回 | 3〜5時間 |
| 生後7〜9ヶ月 | 12〜15時間 | 8〜10時間連続 | 2回 | 2〜4時間 |
| 生後10〜12ヶ月 | 12〜14時間 | 9〜11時間連続 | 1〜2回 | 2〜3時間 |
| 1歳〜1歳半 | 11〜14時間 | 10〜12時間連続 | 1回 | 1.5〜2.5時間 |
新生児(0〜1ヶ月):16〜20時間
まだ昼夜の区別がなく、2〜3時間ごとに起きて授乳を繰り返します。「寝たい時に寝る」で大丈夫な時期。ママ・パパも赤ちゃんのリズムに合わせて仮眠を取りましょう。この時期に「リズムを作ろう」と無理する必要はありません。
生後2〜3ヶ月:14〜17時間
少しずつ昼夜の区別がつき始めます。夜にまとまって4〜5時間寝る子も出てきます。この時期から朝は決まった時間にカーテンを開け、光を取り入れる習慣を始めると効果的です。ただし、まだ安定しない日も多いため、焦らず見守りましょう。
生後4〜6ヶ月:13〜15時間
昼寝は午前と午後の2〜3回に落ち着いてくることが多い時期。夜の睡眠が6〜8時間連続するようになる子もいます。ただし、このころから夜泣きが始まるケースもあります。睡眠退行(スリープリグレッション)と呼ばれる一時的な現象で、脳の発達に伴うよくある過程です。
生後7〜9ヶ月:12〜15時間
ハイハイやつかまり立ちが始まり、日中の活動量が増えます。昼寝は1日2回で安定。夜の睡眠の質が上がる反面、成長に伴う夜泣きのピーク時期でもあります。分離不安も出てくる時期なので、入眠時のルーティンがより重要になります。
生後10〜12ヶ月:12〜14時間
昼寝が1日1〜2回に減り、夜にしっかり寝るパターンが定着してきます。就寝・起床時間を一定にすることで、さらにリズムが安定します。この時期に夜間授乳が続いている場合は、かかりつけ医に相談のうえ、卒乳を検討してもよいでしょう。
1歳〜1歳半:11〜14時間
昼寝は1日1回が主流に。活動量が増え、まとまった夜の睡眠が取れるようになります。この時期に就寝前のルーティンを確立すると、2歳以降も安定した睡眠習慣が続きやすくなります。
月齢別「よくある睡眠の悩み」早見表
上の目安とあわせて、各月齢で保護者が感じやすい悩みをまとめました。多くは発達に伴う一時的なものです。
| 月齢帯 | よくある悩み | 考えられる背景 |
|---|---|---|
| 0〜1ヶ月 | 昼夜逆転する | 体内時計が未成熟で正常な範囲 |
| 2〜3ヶ月 | 急に寝なくなった | メンタルリープ(脳の成長期)の可能性 |
| 4〜6ヶ月 | 夜泣きが始まった | 睡眠退行(スリープリグレッション) |
| 7〜9ヶ月 | 昼寝を嫌がる | 活動意欲の高まり、分離不安の始まり |
| 10〜12ヶ月 | 夜中に遊び始める | 運動発達(つかまり立ち・歩行練習)への興奮 |
| 1歳〜1歳半 | 昼寝2回→1回の移行でぐずる | 移行期特有の疲労蓄積 |
いずれも「うちの子だけ?」と不安になりやすいですが、同月齢の赤ちゃんの多くが経験する通過点です。
昼寝の回数が減るタイミングと移行のコツ
昼寝の回数は月齢とともに自然に減っていきます。移行期はリズムが不安定になりやすいですが、数週間で落ち着くことがほとんどです。
| 移行 | 目安時期 | サイン | 移行のコツ |
|---|---|---|---|
| 3回→2回 | 生後6〜8ヶ月 | 3回目の昼寝で寝つけない | 3回目を短くしてから徐々にカット |
| 2回→1回 | 1歳〜1歳半 | 午前の昼寝が短くなる・遊びたがる | 昼食後に1回の長めの昼寝へ集約 |
移行期はいきなり回数を減らさず、数日おきに調整していくのがポイントです。ぐずりが強い日は無理せず以前のパターンに戻しても構いません。

睡眠リズムを整える5つの実践ポイント
睡眠リズムの土台は「光」「時間」「環境」の3つです。以下のポイントを実践することで、赤ちゃんの体内時計が自然と整っていきます。
ポイント1:朝の光で体内時計をリセット
なぜ重要か: 人間の体内時計は約25時間周期で、毎朝の光刺激でリセットされます。赤ちゃんも同様で、朝の光を浴びることでメラトニン(睡眠ホルモン)の分泌リズムが整います。
やり方: 毎朝決まった時間にカーテンを開け、自然光を浴びせましょう。目安は朝7時ごろ。曇りの日でも外の光は室内照明の数倍の明るさがあるため、天気に関係なく実践できます。
ポイント2:就寝前のルーティンを作る
なぜ重要か: 繰り返しのパターンが、赤ちゃんの脳に「これから寝る時間」というシグナルを送ります。研究でも、就寝ルーティンがある子どもは入眠時間が短く、夜間覚醒が少ないことが示されています。
やり方: お風呂 → 保湿 → 授乳 → 絵本 → おやすみ。毎晩同じ流れを繰り返しましょう。長さは赤ちゃんの様子に合わせて調整してください。テレビやスマホの光は就寝前からオフにすると効果的です。
ポイント3:昼寝の時間帯をコントロールする
なぜ重要か: 夕方以降の昼寝は、夜のメラトニン分泌を遅らせてしまい、入眠を妨げます。
やり方: 16時以降の昼寝は避けるのがおすすめです。昼寝が長すぎる場合は、月齢に合わせて1.5〜2時間を上限にやさしく起こしてみましょう。起こす際は照明をつけたり、やさしく話しかけたりして自然に覚醒を促します。
ポイント4:寝室の環境を整える
なぜ重要か: 赤ちゃんは環境変化に敏感です。快適な睡眠環境を維持することで、中途覚醒を減らせます。
やり方:
- 室温:暑すぎず寒すぎない快適な温度を保つ(赤ちゃんの手足や背中の汗を目安に調整)
- 遮光カーテンで暗さを確保
- ホワイトノイズマシンも有効(換気扇の音やサーっという音)
ポイント5:日中の活動量を意識する
なぜ重要か: 適度な疲労感が質の高い睡眠につながります。日中の活動が少ないと、夜の入眠に時間がかかったり、夜間覚醒が増えたりします。
やり方: 月齢に合った遊びで適度に体を動かしましょう。特に午前中の外気浴やお散歩は、光刺激と運動を同時に得られるため効果的です。

生活リズムが乱れやすい場面と立て直し方
ここがポイントなんですが、せっかく整ったリズムが崩れるタイミングは意外と多いんです。あらかじめ知っておくと、焦らず対応できます。
帰省・旅行
環境が変わると、光の条件や室温・寝具が普段と異なるため、寝つきが悪くなることがあります。できるだけ「朝の光」と「就寝ルーティン」だけは普段どおり守りましょう。帰宅後は2〜3日で元のリズムに戻ることがほとんどです。
体調不良のあと
発熱や風邪のあとは、看病中に頻回授乳や添い寝が増え、睡眠パターンが崩れやすくなります。体調が回復したら、1週間ほどかけて就寝時間や入眠方法を元に戻していきましょう。一気に戻そうとするとぐずりが強くなるため、段階的に進めるのがコツです。
保育園の入園
入園直後は環境変化によるストレスで、夜泣きの再発や入眠困難が起こることがあります。週末も平日と同じ起床・就寝時間を維持すると、体内時計のリセットが早まります。慣らし保育の期間は特に睡眠が不安定になりやすいですが、園生活に慣れるにつれて落ち着いていきます。
よくある誤解と NG パターン
赤ちゃんの睡眠に関しては、善意のアドバイスの中にも誤解に基づくものがあります。
誤解1:「昼間起こしておけば夜よく寝る」
事実: 赤ちゃんは疲れすぎると逆に興奮状態になり、寝つきが悪くなります。これを「過疲労(overtired)」と呼びます。月齢に合った昼寝をしっかり取らせることが、夜の睡眠の質を上げます。
誤解2:「抱っこで寝かせるとクセになる」
事実: 特に生後6ヶ月未満の赤ちゃんには、抱っこやトントンでの寝かしつけは自然なサポートです。月齢が進むにつれて徐々に自力入眠に移行すればよく、急に「今日からひとりで寝かせよう」とする必要はありません。
誤解3:「睡眠時間が短い子は発達が遅れる」
事実: 睡眠時間の個人差は大きく、目安より多少短くても、日中の機嫌がよく発達が順調であれば問題ありません。睡眠時間の長短だけで発達を判断することはできません。心配な場合はかかりつけ医に相談しましょう。
誤解4:「添い寝は危険だから絶対ダメ」
事実: 添い寝にはリスクとメリットの両面があります。厚生労働省は乳児突然死症候群(SIDS)予防の観点から「なるべく赤ちゃん用の寝具で」と推奨しています。同室別寝具が理想ですが、どうしても添い寝が必要な場合は、柔らかい寝具や掛け布団の巻き込みを避けるなどの安全対策を取りましょう。

よくある質問(FAQ)
Q1. うちの子は目安より2時間多く寝ています。寝すぎでしょうか?
睡眠時間の目安はあくまで平均値です。機嫌がよく、体重が順調に増えていて、授乳・離乳食もしっかり摂れているなら心配ありません。ただし、常にぐったりしていたり、起こしても反応が鈍い場合は、かかりつけの小児科に相談してください。
Q2. 生後5ヶ月で急に夜泣きが始まりました。病気でしょうか?
生後4〜6ヶ月ごろの夜泣きは「睡眠退行」と呼ばれる一時的な現象であることが多く、病気ではありません。脳の発達に伴い、睡眠パターンが再編成される過程で起こります。通常2〜4週間で落ち着きますが、長引く場合や他の症状がある場合は小児科を受診しましょう。
Q3. 昼寝を嫌がるようになりました。昼寝をやめてもいいですか?
1歳未満で昼寝を完全にやめるのは早すぎます。多くの子どもは3歳ごろまで昼寝を必要とします。昼寝を嫌がる場合は、環境の見直し(暗さ・静かさ)や、活動量の調整を試みましょう。無理に寝かせるのではなく、「静かに休む時間」としてベッドに横にするだけでも効果があります。
Q4. 双子・年子で睡眠リズムがバラバラです。どうすればいいですか?
まずは起床時間を揃えることから始めましょう。朝同じ時間に起こし、光を浴びせることで、体内時計が近づいていきます。就寝時間は多少ずれても構いませんが、ルーティンは共通にすると管理しやすくなります。大変な時期は周囲のサポートを積極的に頼りましょう。
Q5. 赤ちゃんの寝室は真っ暗にすべきですか?
夜の睡眠時は暗い方が望ましいですが、完全な暗闇でなくても大丈夫です。遮光カーテンで外の光を遮り、夜間の授乳やおむつ替え時には足元灯のようなオレンジ系の暗い照明を使うのがおすすめです。青白い光(スマホ・LEDシーリングライトの昼光色)はメラトニン分泌を抑制するため、就寝前後は避けましょう。一方、昼寝のときは完全な暗闘にする必要はなく、薄暗い程度で十分です。昼と夜の光環境に差をつけることで、体内時計の発達を助けます。
Q6. 寝かしつけに時間がかかりすぎて疲弊しています
まず「30分以内に寝なければ失敗」という考えは手放しましょう。月齢によっては入眠に20〜30分かかるのは自然なことです。ただし、毎日1時間以上かかる場合は、活動量の不足・昼寝のタイミングのずれ・過疲労のいずれかが原因であることが多いです。就寝時刻を30分後ろにずらしてみる、夕方の昼寝を短くするなど、ひとつずつ変数を変えて様子を見ましょう。保護者自身の休息も大切です。交代で寝かしつけを担当するなど、無理のない体制を整えてください。
こんなときは受診を — 相談目安チェックリスト
以下に該当する場合は、早めにかかりつけの小児科に相談してください。
すぐに受診すべきケース
- 常にぐったりしていて反応が鈍い
- 呼吸に異常がある(いびき、無呼吸、陥没呼吸)
- 成長曲線から大きく外れている
- 1日20時間以上寝ていて起きない
1〜2週間様子を見てから相談するケース
- 目安より3時間以上多い・少ないが、特に他の症状はない
- 夜泣きが1ヶ月以上続いている
- 日中の機嫌が著しく悪い
- 入眠までに毎日1時間以上かかる
大切なのは、「いつもと違う」というあなたの直感を大事にすることです。ネットの情報よりも、お子さんを直接診てくれるかかりつけ医の判断を信頼してください。

まとめ
赤ちゃんの睡眠時間には大きな個人差があります。月齢別の目安を知っておくと安心ですが、何よりも大切なのは「赤ちゃんが元気に過ごしているか」というサインです。
この記事のポイントを振り返ります:
- 睡眠の仕組みが違う — 赤ちゃんは浅い眠りが多く、睡眠サイクルが短い。これはよくある発達の過程
- 月齢別の目安を参考に — ただし個人差は大きいので、機嫌と成長曲線を優先
- 3つの柱で整える — 朝の光・就寝ルーティン・日中の活動量
- 誤解に注意 — 「昼間起こしておけば夜寝る」は逆効果
- 迷ったら受診 — 「いつもと違う」という直感を大事に
朝の光・就寝ルーティン・昼間の活動量の3つを意識するだけで、自然と生活リズムは整ってきます。焦らず、お子さんのペースに合わせて進めていきましょう。