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赤ちゃんのお世話 執筆:fujiki

赤ちゃんの添い寝は危ない?SIDSと窒息を分けて考える寝床の作り方

この記事の主な参照ソース

「添い寝は危ないから絶対ダメ」と言われて、でも実際にベビーベッドで寝てくれない。夜中に3回起きて、そのたび立ち上がって抱き上げて、腰が悲鳴を上げている。……こんな板挟みになったことはありませんか。

わたしも上の子のときにベビーベッドを用意しましたが、置いた瞬間に泣くタイプで、結局同じ布団で寝ていました。

ここで整理しておきたいのは、「SIDS」と「睡眠中の窒息」は別物だということです。この2つを混ぜて語られるので、話が「添い寝は是か非か」の二択になってしまう。公的な資料が実際に何を言っているのかを、順番に見ていきます。


SIDSと「睡眠中の窒息」は違うもの

SIDSと睡眠中の窒息の違いを左右2列で対比した比較表の図解。左列「SIDS=原因のわからない病気」右列「窒息=寝具や体位による事故」。各列に「予兆」「原因」「...

こども家庭庁は、乳幼児突然死症候群(SIDS)を「何の予兆や既往歴もないまま乳幼児が死に至る原因のわからない病気で、窒息などの事故とは異なります」と説明しています。

つまり、SIDSは「病気」の分類で、寝具に埋もれて息ができなくなる「窒息」とは区別されています。

SIDS 睡眠中の窒息
位置づけ 原因のわからない病気 寝具や体位による事故
予兆 予兆や既往歴なく起こる 環境が原因なので予測できる面がある
対策の方向 発症リスクを下げる(確立した予防法はない) 環境を整えて物理的に防ぐ

同じくこども家庭庁の資料によると、令和6年時点で55名の乳児がSIDSで亡くなっており、乳児期の死亡原因としては第3位です。

ここがポイントなんですが、SIDSには確立した予防法がありません。一方で、発症のリスクを下げられることが研究で示されている行動が3つある、という整理になっています。そして寝床を整えることは、SIDSのリスク低減と窒息予防の両方に効いてきます。


リスクを下げると分かっている3つのこと

SIDSのリスクを下げる3つのポイントを縦3段のカードで示した図解。「①1歳になるまであおむけに寝かせる」「②無理のない範囲で母乳育児を」「③たばこをやめる(受...

こども家庭庁が挙げている3点は、次のとおりです。

1. 1歳になるまでは、寝かせるときはあおむけに あおむけに寝かせたほうが発症率が低いことが研究で分かっています。医学上の理由でうつぶせ寝を勧められている場合を除いて、赤ちゃんの顔が見えるあおむけにします。

自分で寝返りできるようになった子が、寝ている間にうつぶせになることはあります。その場合も、寝かせるときはあおむけという原則は変わりません。

2. 無理のない範囲で母乳育児を 母乳で育てられている赤ちゃんのほうが、SIDSの発症率が低いことが分かっています。「無理のない範囲で」という前置きが公的な資料側についているところが大事です。ミルクだからリスクが高いという話ではありません。

3. たばこをやめる 厚生労働省のe-ヘルスネットも、たばこをSIDSの発生要因のひとつとして挙げています。乳幼児の周囲で誰かがたばこを吸うことは、SIDSの発生率を高くすることが分かっています。妊娠中の喫煙も、周囲の人の喫煙(受動喫煙)も含まれます。

3つのうち、今日から確実に手を打てるのは1と3です。


添い寝を選ぶなら、寝床の条件で守る

添い寝とベビーベッドを左右で比較した表の図解。「寝返り後の安全」「大人の寝具の影響」「授乳のしやすさ」「夜間の起き上がり負担」の4行で比較し、各セルに○△×と短...

こども家庭庁の資料は、睡眠環境について「柔らかいクッションや傾斜のあるマットレスは避け、身体が沈まない硬めで平坦な布団やマットレスを使いましょう」としています。1歳までは掛け布団を避けること、添い寝については特に薬を服用しているときや飲酒しているときは注意が必要であることも示されています。

これを踏まえて、添い寝とベビーベッドを並べてみます。

添い寝(同じ布団) ベビーベッド・ベビー布団
寝返り後の安全 大人の布団・枕に埋もれるリスクがある 硬さと平坦さを保ちやすい
大人の寝具の影響 掛け布団が顔にかかることがある 分離されている
授乳のしやすさ 起き上がらず対応しやすい 起き上がる必要がある
夜間の身体的負担 少ない 抱き上げ動作が増える
飲酒・服薬時 避けたい 影響を受けにくい

添い寝を選ぶ場合、寝床の条件は「大人用の寝具から赤ちゃんを切り離す」ことに集約されます。

  • 赤ちゃんの下は、身体が沈まない硬めで平坦な敷き寝具にする
  • 大人の掛け布団を赤ちゃんにかけない(1歳までは掛け布団を避ける)
  • 枕、クッション、ぬいぐるみ、タオル類を赤ちゃんの周囲に置かない
  • 大人と赤ちゃんの間に、大人が寝返りで乗り上げない距離をとる
  • ベッドの場合、赤ちゃんを壁側にして隙間を作らない(隙間への転落・挟まりを避ける)
  • 飲酒後・睡眠薬などの服用時は添い寝にしない

同じ部屋で、赤ちゃん専用の平坦な寝床を用意する形(同室別床)が、両方の折り合いをつけやすい選択になります。


月齢で変わる寝床の見直しポイント

月齢別の寝床チェックを4段階のタイムラインで示した図解。「0〜3か月:あおむけ・平坦な敷き寝具」「4〜6か月:寝返り開始・周囲の物を撤去」「7〜11か月:つかま...

寝床は一度作って終わりではなく、動きが増えるたびに見直す対象になります。

月齢 この時期の動き 寝床で見直すこと
0〜3か月 自力で姿勢を変えられない あおむけで寝かせる。敷き寝具は硬めで平坦に。顔の周りに何も置かない
4〜6か月 寝返りが始まる 転がった先に隙間・段差・柔らかい物がないか。寝床の面積を広く平坦に
7〜11か月 ずりばい・つかまり立ち ベッドの柵の高さ、柵の隙間、周囲の家具からの落下。ひも状のものを撤去
1歳〜 歩き出す・自分で布団を動かす 掛け布団の使用を検討できる時期。夜間に部屋から出ないための動線確認

こども家庭庁の「こどもの事故防止ハンドブック」も、年齢に応じて事故の種類が変わることを前提に予防策を整理しています。寝返りができるようになった夜が、最初の見直しタイミングです。

なお室温については、厚生労働省の保育所向け資料が夏26〜28℃・冬20〜23℃、外気温との差は2〜5℃という目安を示しています。厚着で調節するより、室温側で合わせるほうが寝具の枚数を減らせます。


やりがちな寝床のNG5つ

寝床でやりがちなNG5例を「×」アイコン付きで縦に並べ、右に「○」の代替案を対比配置した図解。「大人の掛け布団を共有」「ドーナツ枕・傾斜マット」「ぬいぐるみを並...

1. 大人の掛け布団を赤ちゃんにかける 顔にかかると自力で外せません。1歳までは掛け布団を避け、スリーパーなど着るタイプで調整します。

2. 傾斜のあるマット・柔らかいクッションを使う こども家庭庁は「傾斜のあるマットレスは避ける」と明記しています。吐き戻し対策として傾斜をつけたい場合は、かかりつけ医に相談してください。

3. ぬいぐるみやタオルを枕元に並べる かわいい寝床の写真はSNSでよく見ますが、顔にかぶさる物は寝床から出します。

4. ソファや大人用ベッドで一緒に寝落ちする ソファは隙間とクッションの柔らかさが重なります。夜間授乳のときは、寝落ちしても安全な場所で行うのが現実的です。

5. 厚着で温度を調節する 厚着は体温がこもりやすくなります。室温を先に合わせて、衣類は薄めにするほうが管理しやすくなります。


こんなときは相談を

相談・受診を検討する目安を赤枠で6項目並べた注意喚起の図解。「呼吸が止まって見える」「いびきが大きく息が乱れる」「唇や顔色が悪い」「寝ているとき異常に汗をかく」...

寝ている赤ちゃんの様子で、次のような点が気になるときは、かかりつけの小児科に相談してください。

  • 寝ている間に呼吸が止まっているように見える
  • いびきが大きく、息づかいが乱れる時間がある
  • 唇や顔色が悪くなることがある
  • 寝ているときに異常に汗をかく
  • 体重の増えが思わしくない
  • 医学的な理由でうつぶせ寝を勧められた(自己判断で切り替えない)

厚生労働省はSIDSに関するガイドラインを公表しており、SIDSは診断名として慎重に扱われるものだとしています。心配な点は、ネット検索で判断を固める前に医師に相談するほうが早いです。

夜間や休日で迷ったときは、小児科医師・看護師に相談できる♯8000(小児救急電話相談)が使えます。


よくある質問(FAQ)

Q1. 添い寝は絶対にダメなのでしょうか?

こども家庭庁の資料は「添い寝は禁止」という書き方ではなく、寝具の条件(硬めで平坦、掛け布団を避ける)と、飲酒・服薬時の注意を示す形になっています。リスクを上げる要素を1つずつ外していく、という考え方で組み立てるのが現実的です。

Q2. 寝返りでうつぶせになってしまいます。戻すべきですか?

寝かせるときにあおむけにするのが原則です。自力で寝返りできる子が自分でうつぶせになった場合の扱いは、月齢や発達によって判断が変わるので、健診やかかりつけ医で確認してください。周囲に顔がかぶさる物を置かないことは、どの月齢でも共通です。

Q3. 掛け布団はいつから使えますか?

こども家庭庁は1歳までは掛け布団を避けるとしています。1歳を過ぎてからの導入を検討し、それまではスリーパーなど着る寝具で調整するのが安全側です。

Q4. ミルク育児だとSIDSのリスクが高いのですか?

母乳で育てられている赤ちゃんのほうが発症率が低いという研究結果が示されていますが、資料の表現は「無理のない範囲で母乳育児を」です。ミルクを選ぶことが問題視されているわけではありません。あおむけ寝と禁煙のほうが、確実に手を打てる部分です。

Q5. 家族が家の外で吸っていれば大丈夫ですか?

e-ヘルスネットは「乳幼児の周囲で誰かがたばこを吸うこと」がリスクを高めるとしています。衣服や室内に残る煙の成分についても指摘があるため、屋外で吸ってすぐ抱っこするのは避けたいところです。禁煙そのものが最も確実です。

Q6. 11月にSIDSの話をよく見るのはなぜですか?

11月が「乳幼児突然死症候群(SIDS)対策強化月間」に定められているためです。寒くなって寝具が厚くなる時期と重なるので、寝床を見直すきっかけとして使えます。


まとめ

  • SIDSは原因のわからない病気で、寝具による窒息とは区別されている
  • 確立した予防法はないが、あおむけ寝・母乳育児・禁煙の3つで発症リスクを下げられることが示されている
  • 寝床は硬めで平坦・傾斜なし・1歳まで掛け布団なしが公的資料の示す条件
  • 添い寝を選ぶなら、大人用の寝具から赤ちゃんを切り離すことに集中する
  • 飲酒後・服薬時の添い寝は避ける
  • 寝返り・つかまり立ちのたびに寝床を見直す
  • 呼吸や顔色、いびき、体重の増えが気になるときは小児科へ

「添い寝か、ベビーベッドか」を選ぶ前に、寝床そのものの条件を整える。そのほうが実際に効く部分が多いと思います。

※本記事は医療アドバイスではありません。気になる症状がある場合は必ず医師に相談してください


参考文献

  1. 赤ちゃんが安全に眠れるように 〜1歳未満の赤ちゃんを育てるみなさまへ〜(こども家庭庁)
  2. 乳幼児突然死症候群 / SIDS(e-ヘルスネット/厚生労働省)
  3. 乳幼児突然死症候群(SIDS)に関するガイドラインの公表について(厚生労働省)
  4. こどもの事故防止ハンドブックについて(こども家庭庁)
  5. 子どもを事故から守る!プロジェクト(消費者庁)
  6. 保育所における感染症対策ガイドライン 別添「発熱時の対応」(厚生労働省)
  7. 健康づくりのための睡眠ガイド2023(厚生労働省)

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