この記事の主な参照ソース
- 製品安全情報マガジン Vol.483「ベビーカー、抱っこひもの事故」(NITE) — 事故の傾向と重症度
- リコール情報(ベビー用品)製品安全ガイド(経済産業省) — リコールの検索
- こどもの事故防止ハンドブックについて(こども家庭庁) — 年齢別の事故予防
- 製品安全情報マガジン Vol.338(NITE) — 子どもの事故情報
ベビー用品は、使う期間が短いわりに高い。だから「お下がりもらえるよ」「フリマで安く出てるよ」の話はありがたく感じます。
実際、多くのものは中古で十分です。ただ、安全に関わるものだけは、判断の基準を変える必要があります。境目がどこにあるかを整理しておきます。
中古で受け取っていいもの、慎重に判断するもの

| 区分 | 主なもの | 判断の理由 |
|---|---|---|
| 中古でも問題が少ない | 肌着・衣類、絵本、木製おもちゃ、食器、収納用品、マザーズバッグ | 破損があれば見て分かる。安全機能に依存しない |
| 条件つきで検討 | ベビーカー、ベビーベッド、バウンサー、ハイチェア、おもちゃ(電池式) | 可動部・ベルト・ロックの状態次第。リコール確認が必須 |
| 慎重に判断したい | チャイルドシート、抱っこひも、自転車用ヘルメット、電動製品 | 見えない劣化や事故歴が性能に影響する。使用期限が設定されているものがある |
分ける基準はシンプルです。その製品が「壊れたときに子どもの体を守れなくなる」ものかどうか。
チャイルドシートやヘルメットは、事故の衝撃を受けたあと、外見に問題がなくても内部が損傷していることがあります。前の持ち主が事故に遭ったかどうかは、多くの場合確認できません。抱っこひもも、ベルトやバックル、縫製の劣化が転落につながります。
NITEの製品安全情報マガジンでは、ベビーカーでは転倒や可動部への指の挟み込み、抱っこひもでは幼児の転落が多く、いずれの事故も乳幼児は重症を負っていると報告されています。安全に関わる製品は、状態の分からない中古を避けるのが無難です。
受け取る前にチェックする6項目

もらう・買う前に、この6つを確認します。
1. リコールが出ていないか 経済産業省の製品安全ガイドには、ベビー用品のリコール情報がまとまっています。製品名や型番で検索できます。古い製品ほど確認の価値があります。
2. ベルト・バックル・縫い目 ベルトのほつれ、バックルの割れ、縫製のゆるみを見ます。抱っこひもは特に、肩ベルトと腰ベルトの付け根を確認します。
3. 可動部とロック ベビーカーの折りたたみロック、ストッパー、ハイチェアの固定。カチッと確実に止まるかを実際に動かして確かめます。
4. 破損・ひび・さび プラスチックのひび、金属のさび、車輪のガタつき。屋外保管されていたものは劣化が進んでいることがあります。
5. 取扱説明書があるか 説明書がないと、正しい装着方法や適用体重が分かりません。メーカーのサイトでPDFが公開されていることもあるので、型番から探せるか確認します。
6. 使用期限・適用年齢 チャイルドシートなど、製品によっては使用期限が設定されているものがあります。適用体重・身長も確認します。
フリマアプリで買う場合の追加確認を挙げます。
- 型番が商品説明に書かれているか(書かれていなければ質問する)
- 事故歴・リコール対象かどうかを出品者に確認する
- 写真でベルトとバックル、車輪のアップがあるか
- 保管状況(屋内/屋外、喫煙・ペットの有無)
- 付属品の欠品の有無
分からないものは買わない。これがいちばん確実な判断基準です。
型番から製品情報が見つからない、リコール対象かどうか判断がつかない——そういうときは、メーカーの問い合わせ窓口に相談すると、製造時期や部品の供給状況を教えてもらえることがあります。消費生活に関する困りごとは、消費者ホットライン 188 から最寄りの消費生活センター等に相談できます。判断を自分だけで抱えないでください。
もらったあとの手入れ

受け取ったら、そのまま使い始めずに一度整えます。
- カバー類は外して洗濯 — シート、抱っこひものよだれパッド、ベビーカーの座面カバー。洗濯表示を確認します
- 本体は固く絞った布で拭く — 隙間の食べこぼし、ベルトの溝は綿棒が便利です
- 完全に乾かす — 湿ったまま組み立てるとカビの原因になります
- 組み立て後に動作確認 — ロック、ストッパー、ベルトの長さ調整。子どもを乗せる前に空の状態で試す
- 説明書を読む — 前の持ち主と使い方が違うことがあります。適用体重・装着位置を確認します
- 消耗品は新品に — マットレス、ベビーカーのシートベルトパッド、哺乳瓶の乳首など
衛生面で新品を選びたいものもあります。哺乳瓶の乳首、歯固め、マットレス、寝具、離乳食用のスプーン。口に入るもの・肌に直接長時間触れるものは、新しくするほうが安心です。
お下がりの断り方と、譲り方

善意で持ちかけられると、断りにくいものです。理由を製品側に置くと角が立ちません。
断るときの言い方
- 「チャイルドシートは、事故歴が分からないと使えないって聞いて……新しいのを買うことにしたの」
- 「うちは車がないので、ベビーカーはこのサイズしか置けなくて」
- 「もらっておいて使わないと申し訳ないから、必要になったらお願いしてもいい?」
「いらない」ではなく「この条件だから難しい」に変換します。そして、受け取れるものは受け取る。衣類や絵本を喜んで受け取ると、断った分の気まずさが薄まります。
譲るときに伝えること
- 購入時期と使用期間
- 気になる箇所(ここが少しゆるい、ここに傷がある)
- 説明書の有無
- 事故歴・落下歴の有無
- 「合わなかったら処分して構わない」の一言
最後の一言があると、受け取る側の負担が減ります。返却前提にしないのがマナーです。
サイズアウトした衣類が段ボールで届いて困る、という話もよくあります。譲る前に「どのくらい必要か」を聞いておくと、両方が助かります。
中古以外の選択肢

「中古か新品か」だけではありません。
| 方法 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| レンタル | 使用期間が短いもの(ベビーベッド、バウンサー、新生児用チャイルドシート) | 月額の合計が購入額を超えないか確認 |
| 自治体の貸出・助成 | チャイルドシート、ヘルメットなど。自治体によって制度がある | 実施の有無・条件は自治体ごとに違う |
| リユース店・専門店 | 動作確認済みで販売されているもの | 保証の有無、返品条件を確認 |
| 型落ちの新品 | 安全機能は現行と同等のことが多い | 在庫限り。付属品の世代差に注意 |
チャイルドシートやヘルメットの購入助成・貸出を行っている自治体があります。新品を安く手に入れられる可能性があるので、住んでいる市区町村のサイトで「チャイルドシート 助成」と調べてみる価値があります。
レンタルは、使う期間がはっきり短いものに向きます。新生児用のチャイルドシート、ベビーベッド、産後すぐの搾乳器などです。
よくある誤解とNG例

誤解1:見た目がきれいなら安全 チャイルドシートやヘルメットは、衝撃を受けたあと外見に問題がなくても内部が損傷していることがあります。見た目では判断できません。
誤解2:親族からのお下がりなら安心 関係性と製品の状態は別です。リコールの有無、事故歴、使用期限は、身内からであっても確認してください。聞きにくいことこそ、先に聞いておきます。
誤解3:安く買えたから得をした 壊れて買い直すと、結果的に高くつきます。安全に関わる製品では、判断の軸を「価格」から「確認できるか」に切り替えてください。
誤解4:リコールは新しい製品には関係ない リコールは製造年に関係なく出ます。経済産業省の製品安全ガイドで、型番から確認できます。
NG例:型番が分からないまま、フリマで安全に関わる製品を買う リコールの確認も、説明書の入手もできません。型番の記載がない出品は避けてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 中古で買っても大丈夫なベビー用品は何ですか?
肌着・衣類、絵本、木製おもちゃ、食器、収納用品など、安全機能に依存しないものは中古でも問題が少ないです。破損があれば見て判断できます。
Q2. チャイルドシートを中古で使うのは危険ですか?
事故の衝撃を受けたあと、外見に問題がなくても内部が損傷していることがあります。前の持ち主の事故歴を確認できない場合は避けるのが無難です。自治体によっては購入助成や貸出の制度があるので、確認してみてください。
Q3. 抱っこひもの中古はどうですか?
NITEの情報では、抱っこひもでは幼児の転落が多く、乳幼児は重症を負っていると報告されています。ベルト・バックル・縫製の劣化が転落に直結するため、状態が確認できないものは避けてください。
Q4. リコールはどこで調べられますか?
経済産業省の製品安全ガイドに、ベビー用品のリコール情報がまとめられています。製品名や型番で検索できます。中古品を受け取る前に必ず確認してください。
Q5. フリマアプリで買うとき、何を確認すればいいですか?
型番の記載、リコール対象かどうか、事故歴、ベルトとバックルのアップ写真、保管状況、付属品の欠品です。型番が書かれていない出品は、確認ができないため避けてください。
Q6. もらったあと、どんな手入れをすればいいですか?
カバー類を外して洗濯し、本体は固く絞った布で拭き、完全に乾かしてから組み立てます。組み立て後は、子どもを乗せる前に空の状態でロックとベルトの動作を確認してください。説明書も読み直します。
Q7. お下がりを断りたいのですが、気まずくなりませんか?
「いらない」ではなく「この条件だから難しい」と製品側に理由を置くと角が立ちません。あわせて、衣類や絵本など受け取れるものは受け取ると、関係が保ちやすくなります。
まとめ
- 分ける基準は「壊れたときに子どもの体を守れなくなるものかどうか」
- 衣類・絵本・おもちゃ・食器は中古で十分。チャイルドシート・抱っこひも・ヘルメットは慎重に
- NITEの情報では、ベビーカーは転倒と指の挟み込み、抱っこひもは転落が多く、乳幼児は重症を負っている
- 受け取る前に、リコール・ベルト・可動部・破損・説明書・使用期限の6項目を確認
- リコールは経済産業省の製品安全ガイドで型番から検索できる
- レンタル、自治体の助成・貸出、型落ち新品という選択肢もある
- 断るときは製品側に理由を置く。譲るときは「処分して構わない」を添える
手元にあるお下がりの型番を1つ、リコール検索にかけてみる。数分で終わる作業です。
参考文献
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「製品安全情報マガジン Vol.483「ベビーカー、抱っこひもの事故」」
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「製品安全情報マガジン Vol.338「屋外の子どもの事故」」
- 経済産業省「リコール情報(ベビー用品)製品安全ガイド」
- こども家庭庁「こどもの事故防止ハンドブックについて」
- 消費者庁「窓やベランダからの子どもの転落事故に御注意ください!」
- 東京消防庁「救急搬送データからみる日常生活の事故」
※製品の安全基準・リコール情報・自治体の助成制度は変更されることがあります。購入・使用前に最新の情報をご確認ください。