この記事の主な参照ソース
- 育児・介護休業法 令和7年(2025年)改正のポイント(厚生労働省) — 子の看護等休暇・柔軟な働き方の措置など復職後に関わる法改正
- 出生後休業支援給付金・育児時短就業給付金の解説(厚生労働省 公式note) — 2025年4月創設の新しい給付制度
- 育児休業制度特設サイト(育児休業給付の概要/厚生労働省) — 育児休業給付金の支給率・対象
- 復職に不安を持つママは約9割(マイナビ子育て/カラダノート調査) — 復職への不安の割合・内容
- 育休からの職場復帰はどうする?(マネーフォワード クラウド給与) — 復帰までの流れ・復帰前面談
「復帰の日が近づくにつれて、なんだか胸がザワザワする…」「保育園の送り迎えと仕事、本当に両立できるのかな」——育休の終わりが見えてくると、こんなふうに落ち着かない気持ちになる方は多いのではないでしょうか。
実は、その不安はあなただけのものではありません。産休・育休中のママを対象にした調査では、仕事復帰に「不安あり」と答えた人が88.2%にのぼりました(カラダノート調べ/n=726・2024年)。別の調査でも職場復帰に「不安があった」人は83.3%(エフアンドエム調べ/n=246・2024年)と、複数の調査で約8〜9割が同じ気持ちを抱えているんですね。
でも、安心してください。復職はいきなり本番が来るわけではなく、「いつ・何を準備するか」を逆算しておくと、気持ちはずいぶんラクになるはずです。この記事では、復職までの逆算スケジュール、仕事・保育園・生活・お金の4分野チェックリスト、2025年の制度改正、そして慣らし保育との両立のコツまで、公的情報をもとに整理しました。
育休明けの復職、なぜこんなに不安?データで見る本音

まず、多くの人が何に不安を感じているのかを見ておきましょう。自分のモヤモヤを言葉にできると、それだけで対策が立てやすくなります。
先ほどのカラダノート調査(n=726・2024年)で、復職への不安の内容を見ると、上位はこのようになっています。
| 不安に感じていること | 回答した割合 |
|---|---|
| 保育園の送迎や病児の対応ができるか | 79.7% |
| 遅刻・早退・欠勤などで職場に迷惑をかけないか | 76.8% |
| 子どもの食事準備や生活リズムが崩れないか | 58.2% |
| 環境の変化で子どもが精神的に不安にならないか | 56.1% |
| パートナーとの家事分担がうまくいくか | 50.2% |
(出典:カラダノート調べ/産休・育休中のママ n=726・2024年6〜7月実施)
もう一つの調査では、不安の内容として最も多かったのが「育児と仕事の両立」で73.6%でした(エフアンドエム調べ/n=246・2024年)。
こうして並べてみると、不安の中心は「子どものこと」と「職場に迷惑をかけないか」の2つに集まっているのがわかります。ここがポイントなんですが、どちらも「事前に段取りを決めておく」ことで、かなり和らげられる種類の不安です。裏を返せば、準備しだいで手を打てるということなんですね。
復職までの逆算スケジュール【半年前〜前週】

準備は「思いついた順」ではなく、復職日から逆算して並べるとヌケモレが減ります。マネーフォワードの解説では、復帰までの流れを大きく4つの時期に分けて整理しています。以下は一般的な流れの目安として参考にしてください(勤務先・保育園・自治体の事情で前後します)。
| 時期 | やること | ねらい |
|---|---|---|
| 復帰の半年前〜 | 保育園の情報収集・申し込み準備、会社への初期連絡、キャリアの方向性を考える | 選択肢を早めに把握する |
| 復帰の3ヶ月前 | 保育園の決定、慣らし保育の検討、会社と具体的に話し合い、家庭内の準備開始 | 復職日の骨組みを固める |
| 復帰の1ヶ月前 | 復帰前面談、生活リズムの調整、持ち物・服装の準備 | 本番の生活を先に試す |
| 前週・直前 | 最終確認、職場への挨拶・情報共有、心構え | 不安を「見える化」して整理 |
(参考:マネーフォワード クラウド給与「育休からの職場復帰」)
とくに見落としがちなのが、復帰前面談です。復帰の1〜2ヶ月前に行われることが多く、ここで復帰時期・勤務時間(フルタイムか時短か、在宅勤務の希望など)・担当業務を具体的にすり合わせておくと、初日からのミスマッチが減ります。面談の有無や時期は会社によって違うので、早めに人事や上司に確認しておきましょう。
「まだ先のこと」と思っていても、保育園の申し込みや会社との調整は想像以上に時間がかかります。半年前から少しずつが、結局いちばんラクな進め方です。
復職前チェックリスト【仕事・保育園・生活・お金の4分野】

やることを4つの分野に分けておくと、頭の中が整理されます。全部を完璧にやる必要はありません。「わが家に必要なものだけ」チェックを入れていけばOKです。
仕事面
- 復帰前面談で復帰時期・勤務形態・業務内容をすり合わせる
- 復帰後の勤務時間(フルタイム/時短/在宅)の希望を整理する
- 急な早退・欠勤が出たときの引き継ぎ方法を上司・同僚と共有する
- 使える制度(後述の子の看護等休暇・時短勤務など)を就業規則で確認する
保育園面
- 慣らし保育の日程を園と確認し、復職日との間にバッファを取る
- 登園・降園の担当を夫婦で決める(曜日別でもOK)
- 持ち物の記名・準備、着替えのストックをそろえる
- 発熱時などの「お迎えコール」への対応を事前に決めておく
生活面
- 平日のタイムスケジュールを一度作り、事前にシミュレーションする
- 作り置き・冷凍食品・レトルトなど「時短ごはん」の仕組みを試す
- 食洗機・衣類乾燥機などの時短家電を検討する
- 早寝早起きなど、子どもと自分の生活リズムを少しずつ整える
お金面
- 育児休業給付金がいつまで・いくら支給されるかを把握する
- 時短勤務にする場合の収入変化と、使える給付(後述)を確認する
- 保育料・病児保育・ファミサポなどの費用感を調べておく
ピジョンのアンケートでは、先輩ママが実際に準備したものとして、作り置き・時短レシピ(56.3%)、レトルト食品の常備(47.9%)、便利家電(食洗機・衣類乾燥機など/25.8%)、病児保育・ファミリーサポートの登録(18.9%)が挙がっていました(ピジョン調べ)。特に「帰ってすぐご飯を出せる」仕組みは、夕方のいちばん忙しい時間の救世主になります。
2025年改正で変わったお金と働き方【給付・休暇・柔軟な働き方】

復職準備でつまずきやすいのが「お金」と「働き方の制度」です。2025年(令和7年)には大きな改正が続いたので、要点を押さえておきましょう。制度の細部は改正や運用で変わるため、最新の内容は勤務先・ハローワーク・自治体で必ず確認してください。
育休中のお金の基本
育児休業給付金は、育児休業開始から180日目までは休業開始前賃金の67%、181日目以降は50%が支給されます(厚生労働省)。対象は原則1歳未満(保育所に入れないなど一定の場合は最長2歳未満)の子を養育する雇用保険の被保険者です。支給額には上限・下限があり毎年見直されるため、具体的な金額はハローワークで確認しておくと安心です。
2025年4月から始まった新しい給付
| 制度 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 育児時短就業給付金 | 2歳未満の子を育てながら時短就業する人に、時短就業中の賃金の10%を支給 | 賃金+給付が時短開始時の賃金を超えないよう支給率は調整される |
| 出生後休業支援給付金 | 両親がそれぞれ対象期間内に14日以上の育休取得などの要件を満たすと、休業前賃金の13%を最大28日上乗せ | 既存の67%と合わせて80%相当(保険料免除等を前提に手取り約10割相当) |
(出典:厚生労働省 公式note「出生後休業支援給付金・育児時短就業給付金」)
このうち復職に直結するのが育児時短就業給付金です。「時短にすると収入が減るのが心配」という声は多いですが、こうした給付を前提に家計を見直すと、選択肢が広がります。どちらにするかは各家庭の事情しだいで、時短が正解ともフルタイムが正解とも言い切れません。使える制度を知ったうえで選ぶことが大切です。
復職後の「両立」を支える法改正
2025年4月からは、子の看護休暇が「子の看護等休暇」に見直されました。対象が小学3年生修了までに延長され、取得事由に「感染症に伴う学級閉鎖等」や「入園式・卒園式などの行事」が加わり、勤続6か月未満でも取得できるようになっています。復職後に必ずと言っていいほど直面する「急なお休み」に使える休暇です。
さらに、所定外労働の制限(残業免除)を求められる対象も、これまでの3歳未満から小学校就学前までに拡大されました。短時間勤務の代わりにテレワーク等を導入することも事業主の努力義務になっています。
2025年10月からは、3歳から就学前の子を育てる労働者に向けて、事業主が「始業時刻の変更」「テレワーク」「保育施設の設置運営」「養育両立支援休暇」「短時間勤務」の中から2つ以上の措置を用意することが義務づけられました。会社がどの制度を用意しているかは勤務先で確認してみてください。
慣らし保育と復職日をどう両立させる?

復職日を決めるうえで欠かせないのが慣らし保育です。子どもが少しずつ園の生活に慣れるための期間で、いきなり長時間預けるのではなく、短い時間から段階的に延ばしていきます。
慣らし保育の期間は、厚生労働省の通知でも「1〜2週間程度」が通常実施されているものとして扱われています。ただし、これはあくまで目安。園・自治体・子どもの様子によって前後します。0歳児は短め、1歳児は少し長めになるなど、年齢によっても変わりやすいので、実際の日程は園と相談して決めましょう。
一般的な進み方の目安は、次のようなイメージです(園により大きく異なります)。
| 段階 | 預ける時間の目安 | 様子 |
|---|---|---|
| 1〜2日目 | 1〜2時間程度 | 保護者と離れることに慣れる |
| 数日目 | 午前中まで | 遊び・活動に少し参加 |
| 1週目後半 | 給食まで | 園で食事をとる練習 |
| 2週目 | 午睡(お昼寝)まで | 生活リズムを園に合わせる |
| その後 | 通常保育へ | フルタイムの預かりに移行 |
ここで大事なのが、復職日を慣らし保育の終了日ピッタリに設定しないこと。慣らし保育が延びたり、入園直後に体調を崩したりすることは珍しくありません。復職日との間に数日〜1週間ほどのバッファを取っておくと、いざというときに慌てずにすみます。復職は4月1日にこだわる必要はなく、慣らし保育が落ち着く時期に合わせて選ぶ人もいます。勤務先の制度で調整できる範囲を確認してみてください。
復職後の両立をラクにする心構えと工夫

準備が整っても、いざ復職すると想定外のことは起こります。だからこそ、「完璧にやろうとしない」心構えが両立を長続きさせるコツです。
家事育児は「見える化」して分担する
朝の準備・送迎・食事・寝かしつけ・病気のときの対応——こうしたタスクを一度書き出して、夫婦で担当を決めておくと分担がスムーズになります。頭の中にある「名もなき家事」も、リストにすると相手に伝わりやすくなるんですね。カラダノート調査でも、復職に向けて「パートナーと送迎・家事分担を話し合った」人が62.7%、「実家・義実家の協力をお願いした」人が54.1%と、多くの家庭が事前に体制づくりをしていました。
頼れる先を先に確保しておく
子どもは入園直後、慣れない集団生活の中で体調を崩しやすい時期があります。「熱が出た」「園から呼び出しがあった」ときにどう動くかを、夫婦や家族であらかじめ決めておきましょう。病児保育やファミリーサポートは、事前登録や面談に時間がかかるサービスもあるので、復職前に登録だけ済ませておくと安心です。
よくある誤解・NGパターン
意気込みすぎて、かえって自分を追い込んでしまうケースもあります。次のような落とし穴に注意しましょう。
- NG1:全部ひとりで抱え込む — 「私がやらなきゃ」と背負い込むと長続きしません。分担できるところは早めに手放しましょう。
- NG2:復職日を4月1日に固定する — 慣らし保育や体調不良で予定は動きます。バッファのある日程のほうが現実的です。
- NG3:完璧な生活リズムを最初から目指す — 最初の1〜2週間は「回ればOK」くらいの気持ちで。徐々に整えれば十分です。
- NG4:SNSの「両立キラキラ投稿」と比べる — 家庭ごとに事情は違います。わが家のペースで大丈夫です。
復職後しばらくは、思うようにいかない日があって当たり前。「今日は乗り切れた」で合格、くらいのゆるさを持っておくと気持ちが軽くなります。
育休明けの職場復帰でよくある質問(FAQ)
Q1. 復職はいつから準備を始めればいい?
保育園の情報収集は復帰の半年前くらいから始めておくと余裕があります。保育園の申し込みや会社との調整は時間がかかるため、「まだ先」と思っていても早めに動くのがおすすめです。3ヶ月前に保育園と復職日の骨組みを固め、1ヶ月前に復帰前面談と生活リズムの調整、というのが一般的な流れです(勤務先・自治体で前後します)。
Q2. 時短勤務とフルタイム、どちらで復帰すべき?
これは各家庭の事情によって異なり、どちらが正解とは言い切れません。収入・保育園のお迎え時間・仕事内容・体力などを踏まえて選びましょう。2025年4月からは、2歳未満の子を育てながら時短就業する人に時短就業中の賃金の10%が支給される「育児時短就業給付金」も始まっています。収入面の不安があるときは、こうした給付も含めて家計を試算し、勤務先やハローワークで確認したうえで判断すると安心です。
Q3. 育児休業給付金はいつまでもらえる?
原則として子どもが1歳になるまでの育児休業期間に支給されます。支給率は開始から180日目までが67%、181日目以降が50%です(厚生労働省)。保育所に入れないなど一定の場合は最長2歳まで延長できることがありますが、延長には要件があります。延長の可否や手続きは、勤務先やハローワークで確認してください。
Q4. 慣らし保育はどのくらいの期間がかかる?
厚生労働省の通知でも「1〜2週間程度」が通常のものとして扱われていますが、あくまで目安です。園・自治体・子どもの様子によって前後し、延長されることもあります。復職日は慣らし保育の終了日ピッタリではなく、数日〜1週間のバッファを取って設定しておくと安心です。
Q5. 復職後、子どもが熱を出したときはどうすればいい?
発熱などで登園できないことは、入園直後ほど起こりやすいものです。あらかじめ「誰がお迎えに行くか」「翌日以降どうするか」を夫婦・家族で決めておくとスムーズです。2025年4月からは子の看護等休暇の対象が小学3年生修了まで広がり、感染症による学級閉鎖なども取得事由に加わりました。病児保育やファミリーサポートも、事前登録しておくと選択肢になります。使える制度は勤務先の就業規則で確認しておきましょう。
Q6. 職場に迷惑をかけそうで不安です。どう考えればいい?
「遅刻・早退・欠勤で迷惑をかけないか」は、多くの人が抱く不安です(カラダノート調査でも76.8%)。大切なのは、急な早退や欠勤が出たときの引き継ぎ方法を、あらかじめ上司・同僚と共有しておくことです。「困ったときはお互いさま」の関係を日頃から作っておくと、心理的にも動きやすくなります。復帰前面談で働き方の希望を伝えておくのも有効です。
まとめ — 「逆算」と「頼る準備」で復職はぐっとラクになる
育休明けの職場復帰に不安を感じるのは、ごく自然なこと。約8〜9割の人が同じ気持ちを経験しています。だからこそ、気持ちで乗り切ろうとするより、段取りで手を打つことが近道です。
この記事の要点:
- 逆算スケジュール — 半年前から情報収集、3ヶ月前に骨組み、1ヶ月前に面談と生活リズム調整
- 4分野チェックリスト — 仕事・保育園・生活・お金を分けて、必要なものだけ準備する
- 2025年の制度 — 育児時短就業給付・子の看護等休暇・柔軟な働き方の措置を確認(最新は勤務先・ハローワークで)
- 慣らし保育 — 「1〜2週間程度」は目安。復職日にはバッファを取る
- 心構え — 完璧を手放し、家事分担と頼れる先を先に用意する
困ったときの相談先
- 勤務先の人事・上司 — 復帰時期・勤務形態・使える制度の相談
- ハローワーク — 育児休業給付金・育児時短就業給付金など給付の確認
- お住まいの自治体(保育担当課) — 保育園入園・慣らし保育・保育料の相談
- かかりつけ小児科・地域の子育て支援センター — 子どもの体調や育児の悩み
まずは、今日できる一つ(保育園への確認でも、夫婦での分担リストづくりでもOK)から始めてみてください。小さな準備の積み重ねが、復帰初日のあなたを支えてくれます。
※本記事は一般的な情報をまとめたものです。給付金・休暇などの制度は改正や勤務先の規定によって異なり、最新の内容は厚生労働省・ハローワーク・勤務先・自治体で必ずご確認ください。お子さまの健康面で気になることがある場合は、必ず医師に相談してください。