この記事の主な参照ソース
- 授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)(厚生労働省) — やめる時期は個別の状況に応じて進めるという基本方針
- 平成27年度 乳幼児栄養調査結果の概要(厚生労働省) — 離乳の完了時期の分布データ
- 計画的卒乳とは?卒乳を成功させるためのステップ(ぼにゅ育/ピジョン・助産師監修) — 段階的な進め方と卒乳の目安
- 1カ月前から準備すればスムーズ!「断乳」の進め方(たまひよ・助産師監修) — 準備期間と段階的な減らし方
- 夜間断乳について(ムーニー/ユニ・チャーム) — 夜間断乳の時期と方法のアンケート
「そろそろおっぱい、やめどきかな……でも、いつ・どうやって始めればいいの?」
1歳前後になると、多くのママ・パパがこの壁にぶつかります。まわりの子はもう卒業した、保育園入園が近い、夜の授乳がつらい——きっかけはさまざまですが、いざ進めようとすると「断乳と卒乳ってどっちがいいの?」「急にやめて大丈夫?」と迷いが次々に出てくるんですよね。
この記事では、卒乳と断乳の違いから時期の目安、無理のない進め方のステップ、夜間断乳、ママのからだのケアまで、厚生労働省の支援ガイドや助産師監修の情報をもとに整理しました。先にお伝えすると、やめる時期も方法も「これが正解」という答えはありません。お子さんとご家庭のペースで大丈夫です。
卒乳と断乳って何が違うの?まずは言葉を整理

最初につまずきやすいのが、この2つの言葉。実はこれ、意外とあいまいに使われがちなんです。一般的には、次のように呼び分けられることが多いとされています。
- 卒乳 — 子どもの意思を尊重し、授乳回数が自然に減って終わるのを待つスタイル
- 断乳 — ママ(大人)の意思で時期を決めて、計画的に授乳をやめるスタイル
しのはら小児クリニックの解説でも、断乳は「お母さん側の理由でやめる方法」、卒乳は「赤ちゃんがやめる時を決める方法」と説明されています。ピジョンの助産師監修コラムでも同様の整理がされていて、おおむね共通した使われ方といえそうです。
ここがポイントなんですが、卒乳と断乳に「どちらが優れている」という優劣はありません。仕事復帰や保育園入園、ママの体調など、ご家庭の事情で時期を決める断乳も、自然に任せる卒乳も、どちらも立派な選択です。
卒乳と断乳の比較
| 項目 | 卒乳 | 断乳 |
|---|---|---|
| 決めるのは | 子どものペース | ママ・家庭の意思 |
| 進め方 | 自然に減るのを待つ | 時期を決めて計画的に |
| 向いている場合 | 急ぐ事情がなく見守れる | 復職・入園など期限がある |
| からだのケア | 自然に止まりやすい | おっぱいケアが必要なことが多い |
「うちは断乳寄りかな」「自然卒乳を待ちたいな」と、ご家庭のスタンスをなんとなくイメージできれば十分です。
いつから始める?時期の目安と「正解はない」という考え方

「結局、何カ月くらいでやめるのが普通なの?」というのは、いちばん気になるところですよね。
ここで頼りになるのが、厚生労働省の授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)です。このガイドでは、母乳や育児用ミルクは一人一人の子どもの離乳の進行・完了の状況に応じて与えるとされていて、「○カ月までにやめなさい」という画一的な期限は示されていません。
ひとつの目安になるのが「離乳の完了」という考え方。これは、形のある食べ物をかみつぶせるようになり、エネルギーや栄養素の大部分を母乳・ミルク以外の食事からとれるようになった状態のことで、その時期はおおむね12〜18カ月頃とされています。ただしこれは「離乳の完了」の目安であって、卒乳・断乳の期限ではない点には注意してください。
実際の卒乳時期のデータも見てみましょう。
厚生労働省の平成27年度 乳幼児栄養調査によると、離乳の完了時期は「13〜15カ月」が最も多く、全体の約3割を占めました。以前の調査と比べると、完了(卒乳)の時期はやや遅くなる傾向もみられます。
最も多い「帯」はあるものの、これはあくまで分布のピーク。早い子も遅い子もいるのが当たり前で、この時期にこだわる必要はありません。
月齢別・卒乳/断乳の考え方の目安
| 時期 | 授乳・食事の状況 | 卒乳・断乳の考え方 |
|---|---|---|
| 〜9カ月頃 | 離乳食が1〜2回。栄養は母乳・ミルク中心 | まだ焦らない時期。授乳を楽しんで |
| 9〜11カ月頃 | 3回食へ移行。食事の比重が増える | 夜間授乳が自然に減りやすくなる頃 |
| 12〜18カ月頃 | 離乳の完了の目安。栄養の大部分を食事から | 計画的な卒乳・断乳を考えやすい時期 |
| 1歳半以降 | 食事が中心。言葉も理解し始める | 言い聞かせが通じやすく進めやすい場合も |
あくまで「考えやすい時期」の目安です。体重の増えがゆっくり、食が細いなど栄養面が気になるときは、自己判断で急がず、かかりつけ医や地域の保健師・助産師に相談してから進めると安心です。
始める前にチェック!卒乳・断乳のスタート目安

「進めたいけど、まだ早いかな?」という不安には、目安となるチェックポイントが役立ちます。ピジョンの助産師監修コラムでは、卒乳・断乳を進めてよいかの目安として、次のような項目が挙げられています。
- 1日3回の離乳食が習慣になっている — 食事から栄養がとれている
- コップやマグ、ストローで水分がとれる — 母乳以外で水分補給ができる
- 言葉をある程度理解してきている — 「もうすぐバイバイしようね」が伝わる
- 一人で歩ける/遊びの幅が広がっている — 授乳以外に興味が向く
- 家族の理解や協力が得やすい — 夜の対応などを分担できる
すべてを完璧に満たしていないと始められない、というわけではありません。「だいたい当てはまってきたな」と感じたら、進めるタイミングのひとつと考えてよいでしょう。
実はこれ、意外と見落としがちなのですが、いちばん大切なのは「ママ自身が今かなと思えるか」だったりします。まわりに流されてではなく、ご自身とお子さんのリズムで決めるのがいちばんです。
季節を気にする家庭も多く、体調を崩しにくい春や秋を選ぶ方もいます。これも絶対のルールではないので、進めやすいと感じる時期で大丈夫です。
卒乳・断乳の進め方ステップ|1カ月かけて少しずつ

ここからは具体的な進め方です。共通する大原則は、いきなりやめず、1カ月ほどかけて少しずつ。たまひよの助産師監修記事でも、プレ準備ができていれば1カ月ほどかけて進めると失敗しにくいとされています。
ステップ1:約1カ月前から「心の準備」をする
しのはら小児クリニックの解説では、やめたいと思ったら1カ月ほど前から声かけをして、子どもに心の準備をさせることがすすめられています。「もうすぐおっぱいとバイバイしようね」とやさしく伝えながら、それまでは存分に授乳してあげましょう。カレンダーに印をつけて、子どもと一緒にカウントダウンするのもおすすめです。
ステップ2:授乳回数を段階的に減らす
ピジョンの助産師監修コラムでは、卒乳日の1カ月〜1カ月半前から、離乳食のタイミングを見ながら少しずつ授乳回数を減らしていく方法が紹介されています。一気にやめると胸が張って痛むことがあるため、ペースが大切です。
| 進め方 | 減らし方の目安 |
|---|---|
| 最初の1週間 | まずは週に1回だけ授乳を減らしてみる |
| 次の週 | 2〜3日に1回ずつ、減らすペースを少し上げる |
| さらに進める | 日中→寝る前と、回数を絞っていく |
数字はあくまで目安。胸の張りやお子さんの様子を見ながら、無理のないペースに調整してください。
ステップ3:授乳の時間を別の関わりに置き換える
おっぱいを思い出さないよう、授乳にあてていた時間を外遊びやお茶・お水の時間に置き換えると、気持ちが切り替わりやすいとされています。スキンシップや絵本など、おっぱい以外の安心できる関わりを増やしてあげましょう。
ステップ4:やめた後はママのからだをケアする
最後のステップが、後ほど詳しく解説するママのおっぱいケア。ここを飛ばすと乳腺炎などのトラブルにつながりやすいので、進め方とセットで考えておくのが安心です。
注意したいのは進め方の「関わり方」。泣いてもほうっておく・心を鬼にしてあげない、といった一方的なやり方は良い方法ではないとされています。対話しながら、否定的な言葉を避けて進めてあげてくださいね。
夜間断乳の進め方|夜だけ先に卒業する選択肢

「日中の授乳は続けたいけど、夜中に何度も起きるのがつらい……」という場合は、夜間だけ先に授乳をやめる「夜間断乳」という選択肢があります。
夜間断乳を始める前の目安
マイナビ子育ての助産師監修記事によると、夜間断乳を始める目安として次の点が挙げられています。
- 離乳食をある程度食べられる、または母乳以外の水分がとれる
- 10カ月以降で3回食がしっかり食べられているとなお安心
- 日中に必要量を飲めていて、体重増加が順調
パンパースの公式情報でも、離乳食が進んで日中に栄養・水分が十分とれるようになると、夜間授乳は自然に減っていくことが多いとされています。日中にしっかり栄養がとれていれば、夜中に起こしてまで授乳する必要は基本的にない、という考え方ですね。
よく行われている夜間断乳の方法
ムーニー(ユニ・チャーム)の利用者アンケートによると、夜間断乳を始めた時期は「1歳以降」が最も多く(約24.6%)、行われた方法は次の順でした。
- 生活リズムを整える(約52.5%)
- 寝る前にたっぷり授乳しておく(約46.3%)
- 夜間は母乳・ミルクをあげない(約38.8%)
- 昼間にしっかり体を動かしてもらう(約35.0%)
いきなり夜の授乳をゼロにするより、生活リズムと寝る前の授乳を整えることから入る家庭が多いようです。
夜間断乳でも注意したいのが乳腺炎。夜の授乳がなくなると母乳がたまって張りが強くなりやすいので、痛むときは我慢せず、次のセクションのケアを参考にしてください。体重や栄養面で不安があるときは、開始前に助産師や保健師に相談すると安心です。
見落としがちな「ママのからだケア」|乳腺炎を防ぐ

子どものことばかりに気を取られがちですが、自然卒乳以外で授乳をやめると母乳はすぐには止まりません。ピジョンの助産師監修コラムでも、たまった母乳を放置すると張りが強くなり乳腺炎のリスクが高まるため、おっぱいのケアが必要になると説明されています。
断乳後のおっぱいケアの基本
たまひよの助産師監修記事によると、断乳後は2〜3日で胸の張りがピークになることが多いとされています。このとき大切なのは、我慢しすぎないこと。
- 痛いときは8割程度まで搾って圧を抜く — パンパンの状態を我慢しない
- 冷やして楽にする — 保冷剤などをタオルで包んで当てる
- 搾りすぎない — 出しすぎるとその分また母乳が作られてしまう
「張るからといって全部搾ると、また作られて終わらない」——このバランスがケアのコツなんですね。
避けたいNG行動
同じくたまひよの助産師監修記事では、次のような対応は乳房トラブルにつながりやすく、避けたほうがよいとされています。
- 急に全部の授乳をやめる — 赤ちゃんも適応に苦労し、胸も急な変化に対応しづらい
- 胸の張りをただ我慢する — 「搾るとまた作られるから」と我慢しすぎるのは逆効果になりうる
しこりが残る、搾りにくい、発熱や強い痛みがある——こうしたときは自己流で頑張らず、産院・助産院や母乳外来など専門家に相談するのが望ましいです。早めの相談が、つらい時間を短くしてくれます。
こんなときは相談を|受診・相談の目安とFAQ

最後に、迷ったときの相談の目安と、よくある質問をまとめます。卒乳・断乳は医療的な判断が絡む場面もあるので、不安なときは抱え込まず相談してくださいね。
相談・受診の目安
| 状態 | アクション | サインの例 |
|---|---|---|
| すぐに相談・受診 | 当日〜早めに | 発熱/乳房の強い痛み・赤み/しこりが取れない/断乳後に元気がない・水分がとれない |
| 早めに相談 | 数日以内 | 体重の増えが心配/食が細く栄養が不安/進め方に迷う・うまくいかない |
| ようすを見ながら | 自宅で継続 | 軽い胸の張り/子どもの機嫌は良い/少しずつ進められている |
相談先は、ママのからだのことは産院・助産院・母乳外来、赤ちゃんの栄養や体調のことはかかりつけの小児科や地域の保健師が頼りになります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 断乳と卒乳、どちらを選べばいいですか?
どちらが正しいということはありません。復職や入園など期限がある場合は計画的な断乳、急ぐ事情がなく見守れる場合は自然な卒乳、というように、ご家庭の事情とお子さんの様子で選んで大丈夫です。
Q2. 何カ月までにやめないといけませんか?
「○カ月までに」という医学的な期限はありません。厚労省の支援ガイドでも、やめる時期は子どもと家庭の状況に応じて進めるとされています。離乳の完了の目安は12〜18カ月頃ですが、これも卒乳の期限ではなく、あくまで一つの目安です。
Q3. 急にやめても大丈夫ですか?
急に全部の授乳をやめるのは、赤ちゃんにとっても、ママの胸にとっても負担が大きく、おすすめされていません。1カ月ほどかけて段階的に減らすほうが、親子ともに無理がないとされています。
Q4. 夜間断乳はいつから始められますか?
3回食がある程度食べられ、母乳以外で水分がとれることが目安です。利用者アンケートでは1歳以降に始める方が最も多いという結果もあります。日中の栄養や体重増加が順調かを目安にし、不安なら助産師に相談してから始めると安心です。
Q5. 卒乳・断乳をしたら夜泣きは治りますか?
夜中に起きる回数が変わる子もいますが、夜泣きが必ず治るとは限りません。夜泣きには成長や生活リズムなどさまざまな要因が関わるため、「やめれば必ず解決」とは考えず、生活リズムを整える工夫とあわせて見ていきましょう。
Q6. 進めている途中で子どもが嫌がってつらいです。中断してもいい?
大丈夫です。体調を崩したときや子どもの不安が強いときは、無理に続けず一度ペースを戻しても問題ありません。卒乳・断乳に「失敗」はなく、ご家庭のペースで仕切り直せます。
Q7. おっぱいケアは必ず必要ですか?
自然卒乳でゆっくり減った場合は止まりやすいですが、計画的な断乳では母乳がたまりやすく、張りに応じたケアが必要になることが多いです。痛みやしこりがあるときは我慢せず専門家に相談してください。
まとめ
卒乳と断乳は、「子どもの意思か、大人の意思か」という違いはあっても、どちらが正しいというものではありません。大切なのは、お子さんとご家庭のペースで、無理なく進めること。
- 卒乳・断乳の時期に医学的な唯一の正解はなく、個人差が大きい
- 進めるなら、いきなりやめず1カ月ほどかけて段階的に
- 夜間断乳は、日中の栄養と水分がとれていることが目安
- ママのおっぱいケアを忘れず、つらいときは専門家へ
焦らず、お子さんの様子とご自身の気持ちを大切にしながら進めてくださいね。
参考文献
- 授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版) — 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」改定に関する研究会(2019年3月)
- 平成27年度 乳幼児栄養調査結果の概要 — 厚生労働省
- 計画的卒乳とは?卒乳を成功させるためのステップを助産師が伝授! — ぼにゅ育(ピジョン)/助産師監修
- 断乳と卒乳はなにがちがう?卒乳のタイミングの決め方は? — ぼにゅ育(ピジョン)/助産師監修
- 1カ月前から準備すればスムーズ!「断乳」の進め方 — たまひよ(ベネッセ)/助産師監修
- 急に授乳をやめる、胸の張りを我慢する…断乳でやりがちなNG行動4選【助産師】 — たまひよ(ベネッセ)/助産師監修
- 夜間断乳について — ムーニー(ユニ・チャーム)
- 夜間授乳はいつ終わりにする?ベストなタイミングと方法 — パンパース公式(P&Gジャパン)
- 断乳(だんにゅう)・卒乳(そつにゅう) — しのはら小児クリニック(小児科)
- 【助産師解説】夜間断乳、成功の秘訣5つ!いつごろからできる? — マイナビ子育て/助産師監修
※本記事は医療アドバイスではありません。卒乳・断乳の進め方や、赤ちゃんの栄養・体調、乳房トラブルなど気になることがある場合は、かかりつけの小児科医・地域の保健師・助産師など専門家に相談してください。