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赤ちゃんのお世話 執筆:fujiki

子どものいびきと口呼吸|受診の目安とアデノイド・扁桃の関係

この記事の主な参照ソース

3歳の子が「ぐごごー」とおじさんのようないびきをかいている。かわいい寝顔とのギャップに最初は笑ってしまったけれど、よく見ると口をぽかんと開けていて、ときどき息が止まっている気がする。

……これ、放っておいていいのでしょうか。

みなさんは、子どものいびきをどう扱っていますか。「かぜのときだけ」なら心配は少ないのですが、毎晩のいびきと口呼吸が続いているときは、確認したいポイントがあります。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の情報をもとに、家で見るところと受診の目安を整理します。


子どものいびきが起こるしくみ

子どものいびきの原因を鼻から喉までの断面図で示した図解。「鼻づまり」「アデノイド(鼻のつきあたり)」「口蓋扁桃(のどの両側)」の3箇所に矢印と日本語ラベルを配置...

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、子どもが大きないびきをかく原因としてアデノイド肥大、扁桃肥大、鼻づまりを挙げています。

しくみはこう説明されています。鼻のつきあたりにあるアデノイドや扁桃が大きいと空気の通り道が狭くなり、空気が無理やり通ることでいびきや無呼吸が起こるというものです。

場所 何があるか いびきへの関わり
鼻の中 鼻の粘膜、鼻水 かぜやアレルギーで詰まると口呼吸になる
鼻のつきあたり(上咽頭) アデノイド(咽頭扁桃) 大きいと鼻からの空気の通り道が狭くなる
のどの両側 口蓋扁桃 大きいとのどの空気の通り道が狭くなる
あご・のどの構造 あごの大きさ、のどの形 あごが小さい、のどがつぶれやすいと影響することがある

アデノイドと口蓋扁桃は、子どもの時期にいったん大きくなり、その後小さくなっていく組織です。だから「大きい時期がある」こと自体は成長の過程でもあります。

もう一つ押さえておきたいのが、鼻とのどは一本の通り道としてつながっている点です。鼻が詰まれば口で息をするしかなくなり、口で息をすると舌の位置が下がって、のどの空間がさらに狭くなります。つまり鼻づまりと口呼吸は、互いを強め合う関係にあります。かぜのときだけなら数日で元に戻りますが、アレルギーなどで鼻づまりが長く続くと、この循環が固定されることがあります。だから「鼻の状態」と「いびき」を別の話として扱わず、まとめて見るのが実際的です。

問題になるのは、その大きさが睡眠中の呼吸を妨げている場合です。


「かぜのいびき」と「続くいびき」を分ける

一時的ないびきと継続するいびきを左右2列で対比した比較表の図解。左列「かぜ・鼻づまりのとき」右列「毎晩続く」。各列に「期間」「口呼吸」「無呼吸」「日中の様子」の...

いびきそのものは、鼻が詰まっているときには誰でも起こります。分けて見たいのはここです。

一時的(かぜ・鼻づまり) 続いている
期間 数日〜1〜2週間で落ち着く 1か月以上、季節を問わず続く
口呼吸 鼻が通ると戻る ふだんから口が開いている
呼吸の乱れ 音が大きいだけ 息が止まる・あえぐような呼吸がある
日中の様子 変わらない 眠そう、機嫌が悪い、集中しにくい

学会の情報では、小児でも睡眠時無呼吸が起こるとされ、夜尿の原因となったり、成長障害、注意散漫や学習能力の低下などを引き起こす場合があると説明されています。

原因としてはアデノイドや口蓋扁桃肥大が多く、手術による改善が期待できるとされる一方、中枢性呼吸障害や、あごが小さい・のどがつぶれやすいといった理由で寝ると呼吸が苦しくなることもある、とも書かれています。

つまり、原因によって対応が変わります。ここは家庭で決められる話ではないので、続くいびきは受診で切り分けるのが早いです。


家で見ておく5つのポイント

家庭での観察ポイントをチェックボックス付きで5項目並べた図解。「①寝ているときの姿勢と呼吸音」「②息が止まる時間があるか」「③日中も口が開いているか」「④朝の様...

受診の前に、次の5点を数日ぶん見ておくと診察が早く進みます。

1. 寝ているときの姿勢と呼吸音 あおむけのときだけ音が大きいのか、どの姿勢でも鳴るのか。首をそらせて寝ていないか。

2. 息が止まる時間があるか いびきが途切れて静かになり、その後あえぐように息を吸う。この形が出ていないか。

3. 日中も口が開いているか テレビを見ているとき、食事のとき。起きている間の口呼吸は、鼻の通りの問題を示すことがあります。

4. 朝の様子と寝汗 起きにくい、朝から機嫌が悪い、寝汗が異常に多い、夜尿が続いている。

5. 日中の眠気と集中 昼寝が必要な年齢を過ぎているのに眠そう、園や学校で集中しにくい。

スマホで1〜2分の動画を撮っておくのが、いちばん伝わります。 音と胸の動きが一緒に写ると、診察で説明する手間が省けます。実はこれ、意外と効きます。


受診はどこへ? 何を聞かれる?

受診先の選び方をフロー図で示した図解。「いびき・口呼吸が続く」→「耳鼻咽喉科(鼻・アデノイド・扁桃の確認)」/「発熱や全身の不調がある」→「小児科」→必要に応じ...

いびきと口呼吸が続いている場合、鼻・アデノイド・扁桃を診てもらえる耳鼻咽喉科が入口になります。発熱や全身の症状があるときは小児科から相談して、必要に応じて紹介してもらう形でも構いません。

診察で聞かれることは、だいたい次のあたりです。

聞かれること 用意しておくと早いもの
いつからか 「半年前から」「かぜのあとから」など時期
毎晩か 週に何回、どの季節に多いか
無呼吸があるか 動画、または「何秒くらい止まるか」
日中の口呼吸 起きているときの様子
夜尿・寝汗 頻度
日中の眠気 園や学校での様子
体重・身長の伸び 母子健康手帳の成長曲線
アレルギーの有無 診断や内服の記録

学会の「耳鼻咽喉科健康診断マニュアル」にも学校健診での確認項目が整理されています。健診で指摘を受けた場合は、その紙を持って受診してください。

母子健康手帳の成長曲線を持っていくのがおすすめです。身長・体重の伸びは、医師が判断材料に使う情報のひとつになります。


よくある誤解とNGパターン

いびきについてのよくある誤解4つを「×」アイコンで並べ、右に「○」の正しい理解を対比配置した図解。「子どものいびきはかわいいだけ」「成長すれば自然に治る」「横向...

1. 「子どものいびきは大人と違って問題ない」 学会は、小児でも睡眠時無呼吸が起こり、夜尿や成長障害、注意散漫などに関わる場合があるとしています。音の大きさだけで判断しないほうがよい領域です。

2. 「成長すれば自然に治るから何もしなくていい」 アデノイドや扁桃は成長とともに小さくなる組織ですが、今の睡眠が妨げられているかどうかは別の問題です。待つべきかどうかを判断するのが受診の目的になります。

3. 「横向きにすれば解決する」 姿勢で音が変わることはありますが、原因が構造にある場合は姿勢だけでは変わりません。観察の材料としては役立ちます。

4. 「口を閉じさせるテープを使えば口呼吸が直る」 鼻が通っていない状態で口を閉じさせるのは危険です。まず鼻の通りを診てもらう順番になります。

5. 「動画を見せるのは大げさ」 むしろ最も役立つ情報です。文章で説明しづらい呼吸の乱れが、そのまま伝わります。


こんなときは受診を

受診を検討する目安を赤枠で7項目並べた注意喚起の図解。「息が止まる時間がある」「あえぐような呼吸」「毎晩のいびきが1か月以上」「日中も口が開いている」「夜尿が続...

次のような状態が見られるときは、受診を検討してください。

  • 寝ている間に息が止まる時間がある
  • いびきが途切れたあと、あえぐように息を吸う
  • 毎晩のいびきが1か月以上続いている
  • 起きているときも口が開いている(ふだんの口呼吸)
  • 夜尿が続いている、または再び始まった
  • 日中に強い眠気があり、機嫌や集中に影響が出ている
  • 身長・体重の伸びが鈍くなっている

呼吸が苦しそうで顔色が悪い、唇の色が変わるといった様子があるときは、その場で医療機関に連絡してください。夜間・休日は♯8000(小児救急電話相談)が使えます。


よくある質問(FAQ)

Q1. 子どものいびきは何歳から気にすべきですか?

年齢よりも「続いているか」で見ます。かぜや鼻づまりのときの一時的ないびきは多くの子に起こります。毎晩続く、息が止まる、起きているときも口が開いている、という条件が重なるときが相談のタイミングです。

Q2. アデノイドや扁桃が大きいと必ず手術になりますか?

学会の情報では、アデノイドや口蓋扁桃肥大が原因の場合は手術による改善が期待できるとされていますが、手術が唯一の選択という書き方ではありません。原因や程度によって方針が変わるので、診察で確認してください。

Q3. 口呼吸は歯並びに影響しますか?

口呼吸と口の周りの発育の関わりは、耳鼻咽喉科や歯科で扱われるテーマです。気になる場合は、いびきの相談と併せて歯科でも確認するとよいでしょう。自己判断で矯正グッズを使うのは避けてください。

Q4. 受診前に何を用意すればいいですか?

寝ている様子の動画(1〜2分、音と胸の動きが写るもの)、いつから続いているかのメモ、母子健康手帳の成長曲線。この3点があれば診察が早く進みます。

Q5. 夜尿といびきに関係があるのですか?

学会は、小児の睡眠時無呼吸が夜尿の原因となる場合があると説明しています。夜尿だけで受診しても原因にたどりつかないことがあるため、いびきがある場合はそれも伝えてください。

Q6. 鼻づまりが原因なら市販薬で様子を見ていいですか?

原因の切り分けができていない段階での自己判断は避けたいところです。特に子どもの薬は年齢と体重で扱いが変わるので、受診して確認してください。


まとめ

  • 子どもの大きないびきの原因として、アデノイド肥大・扁桃肥大・鼻づまりが挙げられている
  • アデノイドや扁桃が大きいと空気の通り道が狭くなり、いびきや無呼吸が起こる
  • 小児でも睡眠時無呼吸は起こり、夜尿・成長障害・注意散漫などに関わる場合がある
  • 分けて見るのは「かぜのとき」か「1か月以上続いているか」
  • 家では姿勢・無呼吸・日中の口呼吸・寝汗と夜尿・日中の眠気の5点を観察
  • 1〜2分の動画が診察でいちばん伝わる
  • 息が止まる、あえぐ呼吸、日中の強い眠気、成長の鈍化があれば受診

いびきは「気になるけど、受診するほどか分からない」で止まりやすいテーマです。動画を1本撮っておけば、その迷いはだいぶ短くなります。

※本記事は医療アドバイスではありません。気になる症状がある場合は必ず医師に相談してください


参考文献

  1. 睡眠時無呼吸|子どものみみ・はな・のどの病気(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)
  2. 口・のどの症状(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)
  3. 口腔・咽頭の病気(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)
  4. 耳鼻咽喉科健康診断マニュアル(日本耳鼻咽喉科学会 学校保健委員会)
  5. 耳鼻咽喉科(国立成育医療研究センター)
  6. 健康づくりのための睡眠ガイド2023(厚生労働省)
  7. こどもの睡眠(e-ヘルスネット/厚生労働省)

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